吉田とイチローは獲得プロセスが似ている。米ボストンの地元紙「ボストングローブ」は5日(日本時間6日)、レッドソックスに加入した吉田正尚外野手(29)の巨額契約を特集。獲得に至ったプロセスが、01年にオリックスから同じくポスティングシステムでマリナーズに移籍したイチローに似ていると詳細に分析した。

吉田は昨年12月、ポスティングシステムでオリックスから移籍し、レ軍と5年9000万ドル(約117億円)という巨額契約を結んだ。レ軍は直後、スター遊撃手のザンダー・ボガーツが11年2億8000万ドル(約364億円)という超巨額でパドレスに流出。スター選手が他球団に移り、日本の野手が加わった。同紙は「このような組み合わせを経験した球団はレ軍が初めてではない」とし、00年オフのマリナーズを挙げた。

同年オフのマ軍は、アレックス・ロドリゲス遊撃手が10年2億5200万ドル(約328億円)の契約でレンジャーズに流出した。だが、マ軍はMLB他球団のスター選手ではなく、日本のオリックスからポスティングシステムでイチローを獲得した。3年総額1400万ドル(約18億2000万円)の契約で、他に1310万ドル(約17億円)の移籍金を支払った。

当時のマ軍の担当者だったパット・ギリック氏は「まるで市場の掘り出し物のように見えた」と振り返った。ポスティングで入札した球団は、わずかに4。元オリックス投手コーチでマ軍の環太平洋スカウトを務めていたジム・コルボーン氏は「ドジャースも興味を抱いていて、900万ドル(約11億7000万円)で入札した。1310万ドルは安全策だった」と内情を明かした。イチローは01年に新人王、首位打者、最多安打などを獲得し、MVPにも輝いた。その後も活躍を続け、米殿堂入りは間違いなしの名選手になった。

当時は日本のプロ野球から渡米した野手がおらず、米国で通用するのか不透明だった。その後、松井秀喜や大谷翔平らがスターとなったが、松井稼頭央や秋山翔吾、筒香嘉智らは苦しんだ。22年に広島から5年8500万ドルで鈴木誠也を獲得したカブスも、ジェド・ホイヤー野球事業本部長は「移籍してくる選手の数が少ないだけに、予想にはばらつきが出るだろう」と話した。そして「我々の評価は正確だったと思う」とした。

レ軍は松本スカウトら5人で3年以上前から吉田を調査していた。市場予想より大きい額だと認識しながら、巨額を投じて入札した。記事では「レ軍が吉田を獲得した今、市場に対するオファーの規模は重要ではない。今大事なのは、球団の期待に応えて吉田がどう活躍するかだ」としている。