【シアトル(米ワシントン州)5日(日本時間6日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が、ドタバタの今季初勝利を挙げた。マリナーズ戦に「3番投手兼DH」で出場し、6回3安打1失点。今季から導入された「ピッチクロック」のルールに引っかかり、初めて投打でバイオレーション(違反)を取られた。6四死球と乱れたが、尻上がりに改善。打者では7回に適時打を放ち、2打数1安打1打点。初の出来事に戸惑いながらも、投打でチームの勝利に貢献した。

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今季初勝利の喜びもつかの間、大谷は試合後に審判団の控室へ向かった。理由はセットポジションの定義や投球モーションに関して、疑問点を解消するため。

「どこからがそうで、どこからがそうじゃないのか。横を向いているからセットなのか、どの角度がセットじゃないかとか。話した感じ、審判の方もグレーゾーンみたいだったので。ルール始まって間もないですし、ここまではセーフ、アウトっていうところをお互いに確認した感じですね」

1回1死二塁、ローリーへの打席で、自動的にボールが宣告された。今季から導入されたピッチクロックの違反。打者がバットを構える前に投球を始動したと判断された。この回を終えると自軍ベンチ前で球審と互いの主張をぶつけ合ったが、イニング間はわずか3分。疑問が残ったため、試合後の“緊急協議”につながった。

試合中は半信半疑ながら、出来る限り対応した。序盤の3回までで6四死球。「全体的なリズムをまずは修正したいなと思っていた」。徐々に状態を上げ、最終6回は3者連続三振で締めた。打者でも6回の打席で違反を取られ自動的にストライクとされた。投打での違反は二刀流の大谷ならでは。「ある程度いい状態でゲームが終わって、また次の試合に臨めそうなので、それを繰り返していく。しっかりとしたコンディショニングで、後半も臨めるかが大事」。ドタバタと、荒れながらも投げ抜いた111球。試合の進め方は変わっても、粘り強い姿は健在だった。

▽マリナーズ・クロフォード(4回に一ゴロ併殺)「2巡目以降はカットボールを使っていた。彼との対戦では今まで見たことがない。試合途中でも配球を変えて効果的な投球をしてくる」

▽マリナーズ・ヘルナンデス(大谷に2三振1死球)「彼のような投手と対戦するのは難しい。全ての球種が効果的でストライクゾーン全体を使っていた。狙い球を絞るのが困難」

▽マリナーズ・サービス監督「試合の中で修正していた。スライダーの変化やスピードを変えたり、カーブやカットも交えていた。状態は良くなかったが、それでも勝ちにつなげたのはさすが」

○…今季初勝利を自らたぐり寄せた。2点リードの7回2死一、二塁。大谷は右腕ムニョスと対戦し、2ストライクから外角低めのスライダーに食らいつき、三塁線を抜く技ありの適時打でリードを広げた。「欲をいえば、もっとしっかりした当たりが打ちたかったですけど。追い込まれた中で、ああいう厳しいボールにバットが当たるのは、それなりに良いスイングパス(軌道)を通っているかなと思うので、状態的には悪くはない」と振り返った。

 

◆ピッチクロック 大リーグで今季から導入される投球時間を制限するルール。投手がボールを受け取ってから走者なしの場面で15秒以内、走者がいる場面で20秒以内に投球しなくてはいけない。違反の場合は1ボールが宣告される。打者は制限時間8秒前までに打席に入り、違反すると1ストライクが追加。