エンゼルス大谷翔平投手(28)が、メジャー初対戦となった同学年対決の第1ラウンドを制した。

カブス3連戦の初戦に「2番DH」で出場。第2打席で同じ94年生まれの鈴木誠也外野手(28)の頭上を越える16号ソロを放ち、序盤で劣勢だった流れを変えた。試合前のウオーミングアップ中には握手を交わし、胸を突き合わせた両選手。大谷は2打数1安打2四球、「4番右翼」で出場した鈴木は4打数1安打だった。

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熱狂の中心に2人がいた。4回無死、大谷の強烈な打球は鈴木の頭上を越えた。懸命のジャンピングも及ばず、電光掲示板に直撃。跳ね返ったボールは右翼フィールドへ転がった。これを見た大谷が全力で走る。鈴木も打球を急いで処理。ランニングホームランかとファンの期待が膨らむ中、鈴木は遠投でホームへ返球。全力で阻止し、大谷は三塁を蹴ってから止まった。

ザワザワとするスタジアム。4人の審判が集まった。フェンス上部の黄色いラインを越えていれば本塁打。笑顔の大谷は塁上で人さし指で本塁打をアピールするかのようなジェスチャーを見せ、一方の鈴木は両手を広げてニヤリ。分からずといったそぶりで“応戦”した。最終的には本塁打に判定が変更。球場のファンが一斉に沸くと、大谷はさっそうとホームを踏んだ。

三塁打から一転、これが流れを変える1発となった。3回まで無安打に抑えられていた右腕ウェスネスキの内角高めカットボールに肘をたたみ、フォロースルーで片手になりながらさばいた。胸元をえぐる厳しいコースに対応する技術とパワーを見せつけ、同投手も「狙ったところにいい球を投げることができていたが、彼のスイングが上回った」と脱帽だった。16号ソロ後、ベンチで大谷はカメラマンポーズに続き、右手で波を作るような新ポーズを披露。すると、一気に波に乗ったチームは5回に5得点で逆転した。

試合前、ウオーミングアップを行っていた大谷と鈴木は握手を交わし、再会を喜んだ。94年生まれの同学年。今春3月に開催されたWBCではともに戦うことはできなかったが、鈴木の故障が判明する前までは、帰国後の侍ジャパンへの合流時期を合わせることも考えていた。仲良しの2人がメジャーの公式戦で対決するのは今回が初。胸を合わせ、グータッチで健闘を誓い合った。日本を代表する左右のスラッガー。第1ラウンドは、6年目の“先輩”大谷に軍配が上がった。【斎藤庸裕】

◆日本での大谷対鈴木 交流戦で同じ試合に出場したのは15年1試合、16年3試合の計4試合あるが、両者とも本塁打はなかった。16年日本シリーズでの対戦も両者本塁打なし。オールスターでは16、17年に2人が出場し、16年第2戦(横浜)で全パの5番大谷が本塁打を放っている。

▼大谷がカブスとの初対戦で本塁打。これで本塁打を放った球団は21球団目となった。21球団以上から本塁打を打った日本選手はイチロー(24球団)、松井秀(23球団)に次ぐ3人目。今季はまだ本塁打を打っていないフィリーズ、レッズ、パイレーツ、ジャイアンツ、ダイヤモンドバックスとの対戦を残しており、最大26球団まで伸ばす可能性がある

【日程&結果】エンゼルスなどMLB全カード