エンゼルス大谷翔平投手(29)が、正念場の戦いへ向けて先陣を切る。後半戦の開幕となる14日(同15日)のアストロズ戦に先発。前半戦を5連敗で終え、借金1に沈むチームとしては、プレーオフ争いへ負けられない戦いが続く。大谷個人にとっても、2年前に逃した本塁打王のタイトル獲得へ、さらに勢いをつけたい後半戦。8月1日(同2日)のトレード期限まで16試合。大谷の残留を求め、本拠地アナハイムのファンの合唱も注目される。

◆解説 球宴を終えて迎える後半戦。ペナント争いが本格化する一方、各球団の首脳陣は最も多忙な時期を迎える。トレード期限まで残り約2週間。ポストシーズン枠に残れるか、否か。その瀬戸際を見極める重要な期間となる。

借金「1」でターンしたエンゼルスの場合、よりシビアな選択を迫られる状況となった。主砲トラウトらが離脱中でもあり、今後、月内に借金が増えるようであれば、「売り手」に回る可能性も捨て切れない。現時点で、エ軍首脳陣は今オフFAとなる大谷の放出に否定的な姿勢を見せているものの、来季以降の「再建」へかじを切る判断を下すとなれば、複数のトッププロスペクト(期待の若手選手)との交換に踏み切る可能性はある。日本球界とはまったく異なるビジネス社会。もし、失速した場合、「消化試合」となった終盤戦に身を置く大谷が、エ軍残留に傾く可能性は限りなく低い。来季以降、史上最高額の契約が見込まれる大谷をFAで失う前に、チームの将来を背負う可能性を秘めた複数の有望選手獲得に方針転換しても、何ら不思議はない。

水面下で動いているドジャース、ヤンキースなどにしても、今季中に触手を伸ばしておけば、オフのFA交渉で有利に働く計算はできる。期限は米時間8月1日。今後、エ軍は勝ちにいくのか、ギブアップするのか-。大谷の個人成績以上に、エ軍の浮沈を見逃すわけにはいかない。【MLB担当=四竈衛】