プロスポーツ史上最高額でドジャースと10年契約を交わした大谷翔平投手(29)が、ドリームチームで夢を追う。エンゼルスから旅立ち、新天地へ。昨年9月の2度目の右肘手術により打者専念となり、本塁打王を獲得した昨季を超える活躍が期待される移籍1年目。オリックスから移籍した山本由伸投手(25)や、ムーキー・ベッツ外野手(31)フレディ・フリーマン内野手(34)のMVP経験者を擁するスター軍団とともに、新たな挑戦のシーズンを迎える。

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挑む-。ドジャース大谷翔平の新時代が開幕する。山本も加入し、昨年のWBC優勝に貢献した“世界一コンビ”が、常勝球団の歴史を引き継ぐ。10年契約とはいえ、毎シーズンが勝負。昨年12月14日の入団会見で「常に挑戦したい」と気持ちを高め、「野球選手として、あとどれぐらいできるかっていうのは正直、誰も分からない。勝つことが、僕にとって今一番大事なこと」と断言。限りある現役生活を見据え、勝利至上の覚悟を示す。

エ軍時代の昨季は日本人初の本塁打王と、史上初となる2度目の満票MVPで締めくくった。打者に専念するメジャー7年目で初のプレーオフ進出、ワールドシリーズ出場はもちろん、個人記録にも期待が膨らむ。打撃3冠となれば、12年のミゲル・カブレラ(タイガース)以来12年ぶり。その可能性にカブレラから「次の3冠は彼だ」と太鼓判を押される。実際に昨季も、夏場を迎えるまでは3冠王を視界に捉えていた。

夢のような記録を、夢で終わらせないのが大谷だ。大台の50本塁打は十分に可能なライン。01年にバリー・ボンズ(ジャイアンツ)がマークしたシーズン最多73本塁打を打ち破るのも、決して不可能なことではない。可能性にかかわらず、チャレンジする大谷だからこそ、あらゆるプレーで史上初の偉業が見えてくる。

個人のパフォーマンスとチーム力を融合させ、目指すは悲願の優勝だ。「全員が勝ちに、同じ方向を向いているということが大事」。チームスポーツの競技、かつ最高峰のリーグで、世界一の選手と称され、チームを世界一に導くようなプレーヤーは、日本人では大谷しかいない。再び、道なき道を切り開いていく。常勝球団へ移籍し、30歳となる節目の1年。胸躍る戦いが始まる。【斎藤庸裕】