【アナハイム(米カリフォルニア州)26日(日本時間27日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(29)が、古巣エンゼルスタジアムで大歓迎を受けた。オープン戦最終戦のエンゼルス戦に「2番DH」で出場。同球場には昨年10月1日以来、約6カ月ぶりの登場で、第1打席はスタンディングオベーションで迎えられ、大谷もヘルメットを掲げて返礼した。28日の米国開幕戦カージナルス戦(日本時間29日午前5時10分・ドジャースタジアム)へ向け、心身ともに最終準備を終えた。

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予期せぬ演出で、試合が止まった。1回1死走者なしで迎えた大谷の第1打席だ。当初は、通常通りにピッチクロックが作動。大谷も1度は打席へ入った。ところが、外野の大型スクリーンに映し出された大谷のエンゼルス時代のハイライト映像が、なかなか終わらない。実況アナウンサーが大谷の名前を叫ぶシーンになると、大谷は球審にタイムをかけて打席を外した。

さらに、異例の“上映会”は続く。昨季ア・リーグMVP受賞時の大谷の英語スピーチが字幕付きで流れ、「Congratulations!」とエ軍からの祝福メッセージが映し出されると、4万4377人の観衆から大きな拍手とスタンディングオベーションが湧き起こった。右手で青いヘルメットを掲げてスタンドを見渡した大谷は、にこやかな笑みを浮かべ、大声援に応えた。打席では、先発シルセスの前に、2打席連続空振り三振。“御礼アーチ”こそ出なかったものの、いずれも豪快なフルスイングで、右肘手術から元気に復活した姿を古巣ファンの前で披露した。

韓国での開幕シリーズ後のオープン戦3試合は、計6打数無安打2四球3三振と、快音が途絶えた。長年連れ添った元通訳の水原氏による違法賭博問題で、周囲がざわついていた影響があったとしても不思議ではない。それでも、ロバーツ監督は「韓国ではいいスイングをしていたし、ここ数日は(打球に)角度が付いていないが、(米国での)開幕への準備はできていると思うよ」と、全く心配していなかった。前日に開始した「投球プログラム」も、次回28日(同29日)以降は1日おきにキャッチボールを行う予定で、年間計画通りに進んでいる。

同監督は大谷の環境面での変化についても、前向きに分析した。水原氏の解雇後、大谷はこれまで以上にチームメートらとの関係を深めているという。新通訳のアイアトン氏には、本職のデータ分析やマネジメントなどの仕事もあり、水原氏のように“大谷専属通訳”というわけにはいかない。そのため、大谷が直接、同僚らと会話する機会が増えたようだ。

「みんな彼がどれだけ英語を知っているか、驚くだろう。昨日は大きな1日だったし、我々は前へ進むことを楽しみにしている」とロバーツ監督。野球界だけでなく、世界中から視線を集める大谷のメジャー7年目は28日、本拠地ドジャースタジアムで再スタートする。