【ラスベガス(米ネバダ州)10日(日本時間11日)=大塚仁】巨人からFA宣言し大リーグ挑戦を目指す上原浩治投手(33)の代理人マーク・ピーパー氏(37)が、上原の先発希望を重点に交渉を進めていくことを明かした。ウインターミーティングで初めて移籍条件について言及。「いくつかあるのは事実」と、獲得に関心を持っている球団が複数あることを示した。オリオールズをはじめ、数球団による上原争奪戦がヒートアップしてきた。

 これまで表に出ていなかった上原の代理人が、初めて進行状況を公の場で明らかにした。ピーパー氏はウインターミーティングの会場で「具体的な情報は言うべきではないが、(話をしている球団が)いくつかあるのは事実」と話し、各球団と進めている交渉の状況について語った。交渉が順調に進んでいることを強調しつつ「具体的な提示はまだだが、彼にとってベストなチームを探したい」と各球団のオファーをじっくり見定める意向を示した。

 上原サイドの希望条件は「先発できる球団」が重要なポイントであることも示した。各球団と情報交換する中で、上原に期待する先発、中継ぎ、抑えの役割について「チームによって言ってきていることは、いろいろ違う」と説明。「ただ彼自身が先発を好んでいるのは確か」と話した。上原にとって「先発確約」は重要なファクターだった。

 長年、先発として活躍してきた上原には、こだわらざるを得ない要素だった。巨人では先発だけでなく抑えとしても活躍しているため、大リーグ球団の中にはリリーフとしての興味を示している球団もある。スタッフや設備面の充実など球団によって用意する条件はそれぞれに違う。それらの中で、欠かせない要素の1つが先発として構想に入れているというものだ。

 ピーパー氏によれば、交渉はこれから本格化するという段階だ。「今のFAマーケットはとてもスローなので、こちらも自然とそうなっている」。だがここにきてFAの目玉であるサバシアがヤンキースと合意するなど、徐々に大物の動向が決定。それにより上原についても、いよいよ争奪戦が本格化する段階に移ってくる。

 獲得に前向きなオリオールズを筆頭に、複数球団による争奪戦が徐々に動きだす。時期については「クリスマスまでに決めたいという上原の気持ちも分かるが、その後になるというのも普通にあること」とじっくり構える姿勢。各球団のオファー内容を慎重に見極めて、来季の行く先を決断する。