【オーランド(米フロリダ州)16日(日本時間17日)=四竈衛、佐藤直子通信員】ポスティングシステム(入札制度)を利用してメジャー移籍を目指すロッテ西岡剛内野手(26)の移籍先として、パドレス、レッドソックスが急浮上した。二遊間の強化を目指すパ軍に対し、レ軍は俊足巧打の1番打者として高く評価。ドジャース、ツインズ、マリナーズなども真剣に検討を進めており、6球団以上の争奪戦の末、西岡との独占交渉権獲得が決まる公算が高まった。ロッテはこの日、西岡の入札制度を申請する書類を日本野球機構に送ったと発表した。

 ロッテを日本一に導いた立役者の名前と実力は、米球界でも認識されていた。大リーグのGM会議が始まったこの日、まずはパドレスが西岡獲得への先陣を切った。「我々にとって、今は二遊間の補強が第1のポイントなんだ」。ジェド・ホイヤーGM(36)は、真っ先に今オフの補強指針を口にした。

 今季、公式戦最後の162試合目でジャイアンツに敗れ、プレーオフ進出を逃したパ軍にとって、攻撃力アップが最大のテーマだった。シーズン途中で獲得した遊撃テハダをはじめ、二塁エクスタイン、内外野もこなせるユーティリティーのヘアーストンJr.が、いずれもFAで退団確実。ポッカリと空いた中堅ラインを埋める適任者として、俊足巧打の西岡に白羽の矢を立てるのは自然な流れだった。「うちには走れる選手が必要。パワー打者よりも(ボールに)コンタクトできる選手がいいね」。メジャー屈指の広さを持つ本拠地ペトコパークの特徴を生かす上でも、長距離砲以上に機動力を使える野手が有利。同GMは具体名を伏せながらも、西岡への興味を否定しなかった。

 その一方で、他球団も触手を伸ばすことが確実な状況になってきた。特に、水面下で動いているのがレッドソックス。現時点では、二塁ペドロイア、遊撃スクタロと定位置は確定しているものの、両打ちで俊足の1番打者の獲得は、長年の理想型だった。場合によっては、スクタロの三塁コンバートやトレードを考慮しているともいわれ、西岡獲得に参戦する可能性も十分。エプスタインGMは、補強策について具体的なコメントは避けたが、資金力はあるだけに、参戦となれば一気に最右翼に躍り出ることは間違いない。

 また、「ミネアポリス・スタートリビューン紙」によると、ツインズのビル・スミスGM(52)が、西岡について「彼のことは十分に認識している」と発言。FAとなった二塁ハドソン、遊撃ハーディの補強策として、入札に参戦確実であると報じた。さらに、得点力アップと内野手強化を図るマリナーズ、西岡の希望球団といわれるドジャース、オリオールズも高い興味を示しており、入札候補は6球団以上。特に、今オフは二遊間の野手不足といわれており、正式な入札申請を機に、西岡獲得への動きは一気に加速しそうだ。