レッドソックスへの移籍が決まった上原浩治投手(37)が20日、帰国した。ボストンでは正式契約を結んできたが、伝統球団への移籍の決め手になったのは、クラブハウス内にあった温水洗浄便座付きのトイレだったことを明かした。

 米国生活になじんでいるが、日本から続く習慣で譲れないこだわりがある。「アメリカでは(温水洗浄便座付きのトイレが)少ない」と、いつもスプレー式の「尻拭き」を2個も持ち歩くほど“穴”の清掃にはナーバスになっている。「クラブハウスのトイレの1つに付いていた。うれしかった。99%、入団は決めていたけど、最後の1%の決め手はそれだった」と素直な胸の内を明かした。

 痛い思い出がある。巨人1年目、血便に悩まされる日々が続いた。重圧との闘いで内臓に疾患があると思い悩んでいたが、オフに受けた診断は痔(じ)。ひそかに手術を行ったが、百戦錬磨の右腕が、自らの弱点を悟った瞬間でもあった。

 負けず嫌いの男は、教訓を生かすもの。弱点の克服に向け、温水洗浄便座付きトイレの少ないメジャー生活で、独自に“尻拭きスプレー”を持ち歩いた日々にも別れを告げる。「今はやらなければいけないという気持ちが強い。世界最強のリーグ地区ですから」と闘志満々だった。【小島信行】