<ワールドシリーズ:レイズ4-2フィリーズ>◇第2戦◇23日(日本時間24日)◇トロピカーナフィールド

 【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)】レイズがフィリーズに快勝し、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。初回に岩村明憲内野手(29)の四球を糸口に内野ゴロ2本で2点を先行し、4回にはセーフティースクイズで追加点を挙げるなど「スモールベースボール」でシリーズ初勝利を挙げた。岩村は3打数無安打だった。フ軍は11残塁と拙攻に泣いた。第3戦は1日空いて25日(同26日)、フ軍の本拠地フィラデルフィアで行われる。

 レイズがマドン監督の目指すスモールベースボールで1勝1敗とした。3点リードの4回裏1死一、三塁。9番バートレットが初球スクイズをファウル。直後にもう1度セーフティースクイズを敢行し、三塁走者フロイドを迎え入れた。

 お世辞にも俊足とは言い難い35歳のフロイド本人が説明する。「実は2球ともセーフティースクイズのサインだったんだよ。初球はよく走り方が分からなくて、投球と同時にダッシュしてしまったけど(笑い)。でもウチらしい得点の仕方ができたことが大きいんだ」。これでチームが乗った。

 「クリフ・フロイドは、亀のように遅い…と言いたいところだけど、今年は盗塁もしているし」という先発シールズはベンチで爆笑。リラックスして好投につなげた。岩村が「クリフみたいな大御所があれだけ走るとチームは盛り上がる。ああいうことって大事だと思う。若い時を思い出しながら、どんどん走ってもらいましょう」というようにベンチの雰囲気は上々だ。

 スクイズだけじゃない。1回裏に先制した2点は、いずれも走者を三塁に置いて、きっちり遊ゴロをころがして取ったもの。マドン監督が「アウトで点が取れたんだ。私がどれだけうれしいか言い表せないよ。これこそ来年の春季キャンプで強調しなければいけないことなんだ」というスモールボールだった。

 岩村は「今日のスクイズは、ボストンでの(7点差)大逆転負けからつながっている。自分たちの野球をしながら1点でも多く、貪欲(どんよく)な姿勢を見せるのは大事なこと。それが僕が理解しているジョーの野球なんです」。95年以降、第2戦終了時点で1勝1敗となったのが過去4回。うち2戦目で勝ったチームが優勝したのは1度しかないという不吉なデータもある。だが自分たちの野球でシリーズ初勝利を飾ったレイズの勢いは、敵地でも止まりそうにない。