オリックスが劇的なサヨナラ勝ちで、連敗を4で止めた。ヒーローは5年目の駿太外野手(22)だ。1-1と延長目前の9回2死二塁。ロッテ抑えの西野から右越えにプロ初のサヨナラ打を放った。開幕から3カード連続負け越しと苦しいチーム状況の中で、流れを変える1勝にしたい。

 駿太に迷いはなかった。西野の得意のフォークを振り切った。打球は前進守備の右翼の頭上をはるかに越えた。一塁ベースを踏む前に、右腕を突き上げてガッツポーズしていた。

 「最高ですね。単打を狙っても、外野が前進していたので。いちかばちか、頭を越えるようにポイントを前にして打った」

 前橋商時代にコールド勝ちを決めるサヨナラ打はあるが、勝ち越しでは“人生初”だ。ユニホームはナインがぶっかけた水や炭酸飲料でぐっちょりだった。開幕スタメンはつかんだが、春先から不運が重なっていた。2月キャンプ中は食あたりで体重が3キロ落ちた。オープン戦最後の6試合は不振でスタメン落ち。背中と腰を痛める不運もあり気落ちした。

 「おはらいに行こうかなと思ったくらい。これじゃいけないと、私生活からも見直した」。染めていた髪の毛を黒に戻し、試合中につけていたネックレスも外した。「チームのため。やるべきことをやる」という強い意志が、殊勲の一打につながった。

 森脇監督もたたえた。「2死から竹原の死球、さらに二進の後だったからね。強く願う一心だった。素晴らしかった」。不振の糸井を今季初の1番、さらに中島を初の遊撃で起用など、流れを変えたい気持ちが采配に表れていた。

 駿太は言った。「チームのこれからのきっかけになる一打であればうれしい」。投手陣も粘って最少失点でつないだ。今季初のサヨナラ勝ちに、オリックスの光明が見えた。【大池和幸】