大減俸から逆襲! 阪神西岡剛内野手(31)が4日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、7200万円減の年俸1億800万円でサインした。5月に右肘を負傷。4カ月の長期離脱が響き、野球協約が定める1億円超での減額制限40%に達する大減俸だが「来年が楽しみ。監督を男にしたい」と誓った。金本体制での二塁レギュラーを目指す。(金額は推定)

 給料をザックリ削り取られても、肩の力は抜けていた。球団旗を掲げる部屋に入るとき、かすかに笑みを浮かべていた。心は来季へと向かっている。穏やかな表情で、声をはずませた。

 「記事で悲壮感とか背水という言葉を聞きますけど僕は、まったくそういう気持ちはない。来年が非常に楽しみですし、明日からでもユニホームを着たい」

 この日の夕方、球団事務所で交渉に臨み、高野球団本部長と向き合った。5月に右肘の重傷を負い、4カ月の長期離脱…。覚悟はできていた。野球協約が定める年俸1億円超の減額制限40%に達した。7200万円減の単年1億800万円の提示にも迷わない。「目いっぱい落とされました。僕も承知の上です」。10年下柳と同等の大減俸を受け入れ、早くも前を向く。

 今オフから金本新体制が発足し、新たな抱負が芽生えた。「男としてついて行って間違いのない人だなと阪神に入団したときから、そういう思いがあった。来年、どうにか男にしたいと思います」。金本監督が現役引退後の13年から入れ替わるように阪神に入団。何度か食事をする機会があったという。野球観に触れ、人間性に魅了された。今秋も自らの雑念を振り払ってくれた人だった。

 10月、就任直後の指揮官との面談で「どこのポジションで勝負したいんだ」と問われた。意気に感じた。「FAの権利を持ちながら『阪神に残ってくれ』じゃなく。阪神に残って当たり前という会話をしてもらったときに僕の余分な考えはなくなり『来年も阪神でやるんだ』と0・何秒で決めた」。この言葉で決心できた。仕切り直す立場だが腹はとうの昔にくくった。

 守備走塁を重視する金本流は自らの原点でもある。ロッテ時代は「スピードスター」の称号を得た。

 「今まで走塁も意識してましたけど、どちらか言えば中距離ヒッターになりたい、二塁打、三塁打が増える、本塁打10本くらい打ちたいというのがロッテ時代の最終年くらいからあった。米国から帰ってきて本塁打数は1桁。もう1度、自分が生かされるスタンスを何か見つけて。動ける体は絞っていかないといけない」

 走って動ける、かつての姿へ。新しいチャレンジは始まっている。【酒井俊作】

 ▼阪神の年俸1億円以上の選手が大幅減俸で契約したケースは、09年矢野の2億1000万円から7000万円への1億4000万円減が最大。チームは5年ぶりのBクラス(4位)。故障続きで30試合出場にとどまった矢野は66・7%減が提示された。同年、下柳は8勝8敗に終わり、1億8000万円から40%減の1億800万円で更改。08年には日本ハムから移籍1年目の金村が8試合登板で未勝利と低迷。1億2000万円から7200万円への40%減で更改した。