契約交渉も変化球攻め? ソフトバンク武田翔太投手(22)が、21日ヤフオクドーム内で契約交渉に臨み保留した。球団では今オフ保留1号で、次回交渉は年明けとなるため越年も決定した。今季年俸2600万円から大幅アップを提示されたが、今回は査定の仕組みを学ぶことに専念した。

 自己最多13勝。大幅増にホクホク顔とはいかなかった。交渉後、会見の席に着くと「サインはまだしてないですよ。保留というより初めて査定してもらったものを見る機会ができたので、目を通してからサインしたかった」と保留したことを明かした。ポケットにはハンコも持参していた。だが、怒りや悲しみではなく、予定通りと言わんばかりの、ひょうひょうとした表情で自分の考えを語った。

 武田が知りたかったのは、金額よりも査定内容。1回目の交渉は資料請求だった。初めて代理人を伴って交渉。球団に要求し、査定の細かい内容が書かれたA4サイズの用紙を数十枚持ち帰った。年明けの第2回交渉まで代理人とじっくり精査する考えだ。

 球団の機密文書を持ち帰る事例は別の選手で過去にもあったという。武田は「査定を見たのは初めて。金額より査定の内容をしっかり勉強したい。契約なんで対等じゃないと。選手だけでは細かいことが分からないので」と、収穫を口にした。今季登板した25試合やポストシーズンが1試合ずつ、細かな査定がされている。その内容を知ることが、球団、プロ野球の仕組みを知ることにもつながり、他球団の選手との比較にもなると考えている。

 代理人の大友良浩弁護士(46)は東京在住で10年オフに当時西武だった涌井の年俸調停時に代理人とし、球団提示+3300万円を勝ち取った人物だ。

 球団は「大きく評価している」と自信の額を提示。武田本人も希望額は伝えたが、実際の金額交渉は次回以降となる。なぜ、自分はこれだけの評価を受けているのか。好奇心旺盛な武田らしい契約交渉となった。【石橋隆雄】