ソフトバンク柳田悠岐外野手(27)を分析。

 トリプルスリーを達成した柳田が首位打者に輝いた。山田(ヤクルト)は本塁打王と盗塁王を獲得したが、首位打者のトリプルスリーは初めてだ。

 柳田の打率は3割6分3厘。本塁打を34本も打って、これだけの高打率は珍しい。シーズン打率10傑入りの選手を見ると、歴代2位の00年イチロー(オリックス)ら7人は20本塁打未満。柳田の打率は、30本塁打以上では7位、日本人選手としては70年張本(東映)85年落合(ロッテ)79年加藤英(阪急)に次いで高かった。

 最近は左打ちの長距離砲が減った。統一球を導入した11年以降、左打ちで30本塁打以上は13年阿部(巨人)と柳田しかいない。90年代は30本塁打以上の42%、00年代になってからも00~10年は43%が左打者だったが、この5年は延べ19人のうち17人が右打者。しかも、引っ張った1発が多い選手ばかりなのに、柳田の方向は左翼14本、中堅5本、右翼15本と、流しても本塁打にするのが特長。全本塁打の41・2%が左翼へ流したもので、30本塁打以上の選手で逆方向への割合が40%超えは06年ウッズ(中日)以来だった。

 本塁打の平均飛距離が117・4メートル(本社推定)。今季30本以上打った7人の中では李大浩(ソフトバンク)の116・3メートルを抑え1位だ。方向別の平均飛距離は中堅129・0メートル、右翼117・3メートルで、左翼でも113・2メートル。セ・リーグ本塁打王の山田は38本の平均飛距離が112・5メートル。流し打ちで山田の飛距離を上回るパワーを見せた。

 リーグ最多の102四死球と、安打を打つだけでなく、しっかり四球も選んだ。180安打以上で100四死球以上は50年藤村富(阪神)05年金本(阪神)に次ぎ3人目で、安打に四死球を加えた出塁数は7位タイの284。ケガせずに最後まで先発出場していれば74年王(巨人)の出塁数を抜いたかもしれない。【伊藤友一】