3年ぶり31度目の出場の東北福祉大(仙台6大学)が東農大北海道オホーツク(北海道学生)に5-0で完勝した。13年に2勝して以来3年ぶり、昨夏に就任した元西武の大塚光二監督(48)にとっては全国初白星。4回に4番井沢凌一朗外野手(4年=龍谷大平安)が左中間三塁打を放ち先制。先発したエース城間竜兵投手(4年=八戸学院光星)は6回1安打6三振でまとめた。大塚監督は、4番やエースなどチームの柱にあえて重圧をかけ続けることで、自覚と成長を促した。

 2度目の挑戦で得た全国初勝利は格別だった。大塚監督は「めちゃくちゃうれしい。ここで勝つためにチームをつくってきた」と話した。昨秋神宮大会は立命大に初戦敗退。全国で勝つため、特別に期待をかけてきた投打の大黒柱たちが躍動した。

 4番井沢が4回に先制三塁打を打てば、9回には5番浅沼が右越え2ランを放つ。3番楠本の2安打を加え、3人合計で5安打4打点。同監督は「クリーンアップが打てないと負ける。3人がゲームを背負えばいい。今まで甘やかさなかった。大舞台の中でよく打った」とほめたたえた。

 日ごろから「あの3人は打って当たり前」とハッパをかけた。「アメとムチみたいな話じゃないです。言うタイミングなんか計算できない。打てば褒めるし、打たなければめちゃめちゃ怒る」。開幕前の練習試合で結果が出なかった井沢には「お前はダメだ!」と容赦なく叱った。この日、4番の仕事を全うした井沢は「監督が愛を持って言ってくれているのは分かった。期待してくれた監督のためにも打ちたかった」と胸を張った。

 城間にも無言のプレッシャーを与えた。「調整法とかを言ったことは一切ない。自分でできないとダメ」。リーグ戦で5勝を挙げながらも本調子には遠かった城間はエースの自覚から、大会前にフォームを微調整。本番で好投し「監督から『信頼している』と言われていた。全国1勝をプレゼントできて良かった」と汗をぬぐった。

 責任を与えながら、選手の自主性を引き出すのが大塚スタイル。「競ったゲームの中で自分のプレーができるのか、できないのか」。今日8日の2回戦では九州産業大(福岡6大学)と激突する。責任と信頼で結ばれた「大塚福祉大」に死角はない。【高橋洋平】

 ◆大塚光二(おおつか・こうじ)1967年(昭42)8月26日、神戸市生まれ。兵庫・育英高から86年に東北福祉大に進学。外野手として全日本大学選手権で2度準優勝に貢献した。89年ドラフト3位で西武入りし、01年に現役引退。13年から日本ハムコーチに就任し、14年限りで退団。昨春から東北福祉大の非常勤講師。