ロッテドラフト6位の八戸工大一・種市篤暉投手(18)が27日、青森・八戸市内の同校で指名あいさつを受けた。最速148キロの速球と縦横のスライダーに加え、キレのいいフォークを「お化け」と最大級に評価された。三沢市出身でプロ野球入りした投手は、元近鉄の太田幸司氏(64)以来2人目。東北の高校生NO・1右腕は、新しい「三沢市の顔」になる意欲も見せた。

 種市が大物ぶりを発揮した。午後4時過ぎ、ロッテ永野吉成チーフスカウト(48)と井辺康二担当スカウト(57)を学校に迎え、永野チーフスカウトから「ドラフトはどうだった」と聞かれ、「緊張しましたが、指名されると思っていました」とあっさりと答えた。

 それでも、ロッテ伊東勤監督(54)から「将来のエース期待します」と書かれた記念色紙とサインボールを贈られた種市は「実感が湧いてきました。スタートに立てたこれからが勝負。日本を代表する選手を目指したい」と意欲を見せた。

 球速に加えて、永野チーフスカウトは「他の球団にはあまり知られたくないが、落差が大きく、お化け的な予測のつかないフォークボールが魅力」と最大の指名理由を明かした。本拠地のQVCマリンフィールドは風が強く、風向きによって変化球の変化が不規則になりやすい。95年4月21日には、フォークを武器にするオリックス野田浩司が、1試合19奪三振の日本記録を達成した。183センチから角度のある変化球を投げる種市にとって、マリンの風を味方につけることができれば、心強い。永野スカウトは「先発のイメージしかない。パ・リーグの打者をきりきり舞いさせてほしい」と期待した。

 三沢市出身のプロ野球投手は、太田氏以来2人目。三沢小時代に「太田幸司杯少年野球大会」に参加し、太田氏に会ったことがある種市は、「三沢市の顔だ」と思ったという。「早く契約したい。もっと真っすぐを速くしたり、スタミナをつけて、プロの1軍で活躍できるように詰めていきたい。三沢市の顔になりたい」。堂々、「ポスト太田」にも名乗りを上げた。【佐々木雄高】

 ◆三沢市出身のプロ野球選手 野手では三沢高で太田氏と同期だった八重沢憲一氏(65=近鉄、日本ハム)、柿崎幸男氏(59=三沢-日本ハム)、佐々木明義氏(45=三沢商-オリックス、巨人)がいる。種市が契約すれば5人目で、平成生まれでは初になる。

 ◆オリックス野田の19奪三振 95年4月21日、千葉マリンでのロッテ戦で先発全員から毎回の19奪三振。阪急足立らが持っていた1試合の奪三振記録(17、当時)を更新した。センター上空からバックネット方向に吹いた8メートルを超える強風が、球場のスタンドに当たってマウンド上では向かい風になり、空気抵抗を受けたフォークが微妙に左右に曲がって落ちた。野田は同点のまま9回で降板。試合は10回にロッテがサヨナラ勝ちした。