ピアノも投球術も極めます。巨人からドラフト4位で指名されたヤマハ・池田駿投手(23)が9日、浜松市内の同社研修会館で指名あいさつを受けた。中学3年から独学で続けるピアノ演奏が特技のサウスポーは、前日8日の社会人野球日本選手権決勝で8回途中1失点と好投。チームを初優勝に導きMVPを獲得した。一夜明けで疲労もあり、この日の“リサイタル”は見送ったが「興奮しすぎているので落ち着いた曲を弾きたいですね」と、ロビーに展示されていた電子ピアノにそっと触れた。

 繊細なタッチが売りだ。昨年の入寮時、同社製の約10万円の電子ピアノを購入。部屋でベートーベンのピアノソナタやJポップを弾いて気持ちを静めた。心をリセットした後は、巨人杉内らの動画を研究。最速148キロの直球と変化球の絶妙なコンビネーションで打ち取る術を磨き上げた。

 プロでもスタイルは変えない。「直球でファウルを取ってスライダーやチェンジアップで三振や内野ゴロを取る投球を見せたい」。ピアノも欠かせない。ヤマハ製の新しい電子ピアノを買って入寮の意向。ファンへの演奏披露には「活躍して認知していただければ…。(巨人の応援歌)『闘魂こめて』も練習します!」と笑った。「まず3年、しっかり投げられれば。その中で与えられた役割を全うしたい。ピアノも極めたいです」。先発も中継ぎもこなせる「ピアノマン」は、どんな場面でも慌てずに自分のタッチで、勝利の音色を奏でる。【浜本卓也】