ヤクルト徳山武陽投手(27)が、国指定の難病「黄色靭帯(じんたい)骨化症」からの最速復活を誓った。16日、都内の球団事務所で380万円減の1150万円(推定)で契約を更改した。11月22日に手術を受け現在はリハビリ中。同じ病で13年6月に手術し、同年10月に復帰登板したソフトバンク大隣に励まされた徳山は「最初は『野球をやめるのか』と思ったけど、4カ月で戻ったと聞いて希望がわいた。大隣さんより早く復帰して、同じ病気になった人の力になりたい」。明るい表情で、来年3月中の実戦復帰を誓った。

 絶望から救われた。9月下旬、左太もも内側の感覚が鈍った。「歯医者で麻酔を打たれたような感じ。痛みはなかった」と10月のフェニックスリーグにも参加。140キロ台の球速は出ても「投げ終わって左足1本で立てなかった」。痛み止めなど何種類も薬を試したが、症状は悪化した。緊急帰京して精密検査を受け、11月上旬に病名が判明。ヤクルト久古のつながりで大隣と連絡が取れ、どん底から立ち直った。「不安しかない時に『心配しすぎないで前向きに、1歩ずつやれば大丈夫』と言ってもらえて救われた」と感謝した。

 都内の病院で同じ医者に執刀してもらい、手術は成功。左足の症状も、背骨を10センチほど開く手術も大隣とほぼ同じだった。「まだ走れない」と言うが、軽いネットスローができるまでに回復した。今後についても大隣を参考に「2月終盤あたりでブルペンに入りたい」と言った。徳山が難病を克服し、必ず恩返しのマウンドに立つ。【鹿野雄太】

 ◆黄色靱帯(じんたい)骨化症 原因不明の国指定の難病で、背骨に沿った靱帯が骨化して脊髄を圧迫する。症状としては下肢の脱力やしびれがみられ、悪化すると両下肢まひを来すこともある。プロ野球では元オリックス酒井、宮本、巨人越智、ソフトバンク大隣らが発症。14年には楽天星野監督(当時)も手術を受けた。