日本ハム森本龍弥内野手(22)がプロ初昇格初スタメンで初打席初安打をマークした。2回2死一塁で迎えた第1打席。WBCオランダ代表のソフトバンク先発バンデンハークの149キロ直球を中前に運んだ。「初球から思い切って振っていこうとした結果、ヒットになった。とても、うれしかったです」。チャンスを広げ、続く清水の左前適時打を誘発。プロ5年目で放った記念の一打は、チームの勝利にもつながった。

 故障離脱した中田と入れ替わる形でこの日、出場選手登録された。試合前練習が始まる前に球場を後にした中田からは「頑張れよ。行ってこい!」と背中を押された。いきなり「8番一塁」でスタメンに抜てき。試合前練習のアップが終わり、ロッカーへ戻った時に知った。緊張感が増した。「いろんな人から『スマイル』『スマイル』と、言われた」。周囲の温かい配慮にも応える結果を、最初の打席で決めた。

 兵庫・尼崎出身。12年ドラフト2位で指名され、高岡第一(富山)から入団した。当時の1位指名は大谷だ。切磋琢磨(せっさたくま)するはずが、1軍昇格を果たせないまま5年目を迎えた。今季は大卒の同学年選手も入団。4回に左前適時打を放ったルーキー石井一は開幕1軍入りし、先にプロ初安打も放っていた。一緒に立ったお立ち台で石井一は「同級生として、とてもうれしいです」と、森本の初安打に笑顔。横で聞いていた森本も笑顔を見せたが、思わず本音が出た。「僕は高卒で入って、やっぱり高卒のプライドがある。負けないようにしたいです」。

 15年12月に右手首を手術し、昨季は2軍戦で自打球を顔に当てて顔面骨折も経験。もがきながら、ようやく1軍にたどりついた。「すごいやつと同期で入ったからには、一緒にプレーしたい」。大谷は左太もも裏の肉離れで戦列を離れている。1軍に戻ってくるまで、自分も-。強い気持ちで、故障者続出のチームの光となる。【木下大輔】