いざ出陣-。全日本大学野球選手権(神宮ほか)が5日から開幕する。東北勢は仙台6大学から東北福祉大(2年連続32度目)、北東北大学から富士大(岩手、5年連続12度目)、南東北大学から石巻専修大(宮城、8年ぶり4度目)の3校が出場する。全国で大活躍が必至の、リーグを代表する3選手にスポットライトを当てる。

 石巻専修大の「ミスターコントロール」が、全国で名を上げる。無傷の5連勝で13季ぶり6度目の優勝に導いた最速145キロ右腕のエース菅野一樹(2年=聖和学園)は正確無比の制球力が武器だ。「球速がズバ抜けているわけではないので、コーナーを突く組み立てが生命線」。今春は41回を投げ、与えた四死球はわずか7個。32回で2個だった東日本国際大(福島)船迫大雅(3年=聖光学院)にかなわなかったが、リーグ屈指の制球力であることには間違いない。

 昨秋の優勝決定戦で福島大に敗れたのを機に、ツーシームを習得して安定感が増した。シュート気味にわずかに食い込む130キロ前半の新球でバットの芯を外し、ピンチの場面では併殺で乗り切ってきた。「いつでも内野ゴロがとれるし、投球の幅が広がった」。ボール1個分の出し入れができるからこそ、ツーシームが威力を発揮する。

 現在、13勝まで積み上げた菅野は常々「リーグで30勝してプロに行く」と公言してきた。全国で活躍すれば、おのずとプロへの道は開ける。5日の共栄大(東京新大学)との1回戦に向け「完封できるイメージはある。全国で思い切り暴れたい」と宣言した。【高橋洋平】

 ◆菅野一樹(かんの・かずき)1997年(平9)10月5日、仙台市生まれ。郡山小3年から野球を始め、郡山中では仙台東部リトルシニアに所属。聖和学園に入学し、2年秋の地区大会では佐藤世那(現オリックス)擁する仙台育英を撃破するも、甲子園出場はなし。石巻専修大では1年春から登板。180センチ、81キロ。右投げ右打ち。