4番のバットで交流戦首位タイ浮上!! 広島鈴木誠也外野手(22)が、「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦1回に12号先制2ランを放ち、チームを勝利に導いた。昨年の日本シリーズで3連敗を喫した札幌で3連勝とリベンジ。チームの連勝を5に伸ばした。勢いを加速させ、今日9日からは、パ・リーグ首位楽天との3連戦に臨む。

 いきなり快音を響かせた。1回2死一塁で打席に立った鈴木は、初対戦の日本ハム浦野の初球、甘く入った真っすぐに反応した。バットを振り抜くと、打球は左翼席最前列へ。4番のバットから生まれた3試合ぶりの先制点で主導権を握った。

 5連勝、交流戦首位タイ浮上。チームにとっては、いいことずくめの1日も、鈴木は不満顔だった。「(試合の)入りが良かっただけに、その後の打席に不満がある。ああいう打席を反省して減らしていかないといけない」。2打席目以降は中飛、三ゴロ、右飛。得点に絡むことができなかった。理想が高い22歳は、自分が殊勲者とたたえられることが受け入れられなかったようだ。

 だが「入りが良かった」ことは収穫でもある。試合前まで第1打席の打率は2割3分4厘と3割を大きく切っていた。2~4打席の打率はいずれも3割超。東出打撃コーチも「もっとすんなり試合に入ってくれればいいんだけど」と指摘していた。第1打席の打撃は課題でもあった。

 打撃3部門で上位につける成績も、試行錯誤を続ける。5月18日DeNA戦からバットの材質を反発力の強いメープルから、しなりのあるホワイトアッシュに変えた。割れやすいため、練習では使わない選手もいるが、鈴木はテーピングで補強して使用する。「練習と試合で感覚が変わるのが嫌なので、無理を言って練習から使わせてもらっています。打った感じが好きです」。徐々に新相棒も手になじんできた。

 昨年の日本シリーズで3連敗を喫した北の大地で、4番のバットに導かれ3連勝した。チームは勢いづき、パ・リーグ首位楽天が待つ仙台に乗り込む。猛打を誇る打線同士の対戦。4番の働きが結果を左右する。【前原淳】