父との約束から11年-。中日のドラフト1位、柳裕也投手(23)がプロ初勝利を挙げた。3度目の先発で強力な西武打線に7回3失点。持ち味である粘りの投球が実り、ウイニングボールを手にした。明大では東京6大学リーグ23勝、大学日本代表のエースも務めた即戦力右腕。右肘痛で出遅れていたが、本領を発揮し始めた。亡き父にささげる、父の日の記念星だった。

 出迎えの列に加わると、森監督から先頭に促された。先輩たちに頭を下げながらタッチ。初のお立ち台では「野手の方が点を取ってくれた。頼もしかった」と感謝を忘れなかった。

 調子はよくなかった。友利投手コーチは「でも試合の中で修正した。普通の新人よりワンランク上」。それが柳の真骨頂。初回に1点取られたが「次の1点をやらないようにした」。その後の1死二、三塁は中村を空振り三振、栗山を二ゴロ。その裏に打線が逆転してくれた。

 3-1の6回に暴投などで同点にされた。だが、「一番力を入れた」と栗山を二ゴロ、メヒアを二飛。ともに得意のカットボールで打ち取った。7回を3人で片付けると、代打を出された。その裏、再び打線の援護を受け、勝ち越し。勝利投手の権利が生まれた。