DeNAは、筒香嘉智外野手(25)が元同僚から11号2ランを放つなど、今季最多19安打で完勝し、12年ぶりにビジターの巨人3連戦3連勝を飾った。3点リードの3回に貴重な1発を放ち、昨オフにフリーエージェント(FA)で移籍した巨人山口俊を攻略した。今季2度目の4連勝で、15年6月11日以来752日ぶり貯金2とした。この勢いで、4日から2ゲーム差の阪神との直接対決で2位浮上を狙う。

 かつて味方だった元エースから、とどめの1発を見舞った。3回無死一塁。「3番筒香」がコールされた。今季3試合目の新打順。マウンドには昨季までチームメートだった山口俊がいた。「誰だろうと、やることは変わらない」と勝負に徹した。初球の落ちきらなかったフォークを仕留めた。3番で今季初本塁打。「チャンスがくれば自分がかえせばいい」と、沈黙の巨人ファンが埋め尽くす右翼席へアーチを描いた。

 リーグ戦再開後の6月23日から、8戦5発と量産態勢に入っている。「感覚はだいぶよくなっている。だんだんあのへん(交流戦)からよくなってきた」と、勝率5割で終えた交流戦が潮目だった。交流戦折り返しとなった西武3連戦(5月9日~)。試合前のフリー打撃で重心移動をていねいに確認した。両手で握ったバットを前へ出し、約3秒もかけてバットを引いて構える。重心を後ろに残してから打撃動作に入るためだった。数にしてわずか10球程度。「自分の体の中のことは自分にしか分からない」と日々、体と向き合っていた。

 指名打者で出場した試合後には、回復に努めた。3月のWBCに出場した疲労を、シーズンに入ってからも感じていたからだ。ガラス容器を背中に当て、熱で皮膚を吸引することで血行を高める「カッピング療法」で疲労回復。疲労の軽減に反比例して、上がりきらなかった打撃がリーグ再開と同時に爆発しつつある。

 6月27日の広島戦後、監督室で伝えられた3番起用の新打線が火を噴き、チームは先発全員の今季最多19安打。4連勝の勢いに乗って、2ゲーム差の阪神と明日4日から3連戦に臨む。筒香は「みんな自信を持ってやれている。チームがいい雰囲気で戦えている」と胸を張った。3連勝で虎を追い抜く勢いが今のDeNAにはある。【栗田成芳】