日本ハムは奇襲も実らず、今季5度目の5連敗を喫した。栗山英樹監督(56)は8日ソフトバンク戦(札幌ドーム)で、打線の起爆剤に中田翔内野手(28)をプロ初の1番に抜てき。不振の大砲再生と攻撃の活性化を狙った仰天起用だったが、中田は4打数無安打と不発。2得点に抑えられ、ソフトバンク戦は7連敗となった。借金は最下位に沈んだ01年以来、16年ぶりの「18」。本拠地を北海道に移転した04年以降では、ワーストを更新した。

 どよめきが起きた。試合前のスタメン発表。「1番 ファースト 中田」のコールに、場内がざわついた。昨季まで不動の4番に君臨した主砲がトップバッターというサプライズ。初回先頭で打席へ向かう中田には、いつも以上の声援が送られた。初球からフルスイングでファウル。ソフトバンク千賀に対して果敢にバットを振っていったが、カウント2-2から最後は空振り三振に終わった。

 プロ初の1番打者として臨み、結果は4打数無安打。試合後の中田は、短いコメントに無念さを込めた。「情けないのひと言です」。報道陣からの質問は遮って、マイカーの扉を閉めると足早に球場を後にした。さまざまな思いは、胸の内にとどめた。チームも敗れた。本来は打線の主軸として引っ張るべき存在。自負もあるからこそ、波に乗れない自分へのやるせなさが募っていた。

 栗山監督は「1番中田」の意図については「話さない」とした。ただ、狙いの一端として「基本はバットを振らなきゃいけない」と、話した。中途半端なスイングが目立った最近の中田の姿を見て、カンフル剤を打つことを決めたようだ。12年の監督就任時に中田に対して「打席に行ったら、しっかり3回振ってくれればいい」と話して4番を託した。まずは先頭打者として何も考えずにフルスイングをして、持ち味を取り戻してほしい願いがあった。今後の打順については「また考える」とした。

 刺激的な策も実らず、負の数字は更新された。今季5度目の5連敗を喫して、借金は北海道移転後のワーストとなる「18」まで膨れあがった。01年以来16年ぶりの負け越し数だ。栗山監督は「嫌な思いをした分だけ(チームにとって)プラスになると信じて、しっかりやっていきます」。今日9日は、前半戦最後の本拠地での試合。中田もチームも、意地を見せたい。【木下大輔】

 ◆日本ハムが5連敗で今季ワーストの借金18にふくらんだ。前日7日の借金17で、05年8月に2度記録した北海道へ本拠地移転後のワーストに並んでいたが、04年以降の最多更新となった。球団最多は前身東映時代の55年の借金40。日本ハムになった74年以降は94年に2度記録した借金35が最多。

 ◆日本ハムの打順1番 今季は開幕から6月9日まで固定されていた西川が最多62試合。6月10日に移籍後初の1番に座った大田が14試合。新外国人ドレイクが初出場となった7月3日西武戦の1試合。中田で今季4人目。