広島野村祐輔投手(28)が7回5安打1失点で5勝目を挙げた。切れ味抜群のスライダーとシュートを両コーナーに投げ分け、カーブも交えて緩急を使った。安定感抜群の右腕の好投。チームもバティスタの代打逆転2ランなどで今季29度目の逆転勝利。引き分けを挟んで4連勝だ。2位阪神とは9ゲーム差。勢いは止まらない!

 バティ弾の瞬間、野村はベンチで両手を上げた。この試合、2度目の渾身(こんしん)のガッツポーズだ。7回1死二塁の好機で自身の代打バティスタが逆転2ラン。「自分が与えてしまった1点だったので、うれしかった」。7回5安打1失点、6奪三振の好投が報われ、5勝目が転がり込んできた。

 1度目のガッツポーズは6回のピンチをしのいで出た。1死から連打を食らって一、二塁。打席に首位打者のDeNA宮崎を迎えた。2ボール1ストライクからの4球目。「ゴロを打たせたかった」。内角をえぐるシュートで詰まらせ、狙い通りの遊ゴロ併殺。「いいプレーをしてもらった。守ってもらいました」と振り返った。

 カード頭を託され、エース級との投げ合いが続く。白星は伸び悩むが、6回以上を投げ自責点3以下のクオリティースタート(QS)率は79%を誇る。チームでは先発転向後5戦5勝の薮田の100%に次ぐ数字だ。大瀬良や岡田、ジョンソンよりも安定感が際立つ。「試合をつくること」をテーマに置いている右腕にとって、大きな勲章だ。

 安定した睡眠が、安定した投球を生む。睡眠時間はきっちり7時間。起きる時間を逆算し、目覚まし時計をセットしてベッドに入る。「7時間以上でも以下でも、体が重くなる」。複数のパターンを試した結果、落ち着いたのがきっちり7時間だった。時間があれば雑誌を読んだり、散歩したりして調節もするという。細かい作業が、確実な結果につながっている。

 チームは8回にも3点を追加し引き分けを挟んで4連勝。試合がなかった2位阪神とのゲーム差を9に広げた。緒方監督も「粘り強く、球威もあった。1点でしのいだのが大きかったね」と野村を評価。安定感抜群の野村に導かれ、気温とともに広島の勢いは加速していく。【池本泰尚】