「夜王」が帰ってきた。楽天岸孝之投手(32)が、今季初のナイターで前半戦最後の試合を締めた。右手親指のマメがつぶれ、流血しながら6回2安打無失点。梨田監督らが交代を促す中、7回も志願する情熱を見せた。西武時代の10年にはナイター14連勝をマークするなど、相性のいい夜で血をたぎらせた。則本-岸の両看板をぶつけて、ソフトバンク2連戦を連勝。貯金を今季最多の26に伸ばした。

 岸は、7回表の攻撃で2死となると当然のようにキャッチボールを始めようとした。梨田監督は×サインを出したが、7回のマウンドに上がった。ただ、つぶれた右手親指のマメの影響で無念の降板となった。「気付いたら血が出ていた。もうちょっと長い回を投げたかった」。帰りのバスに乗り込む午後10時でも、真っ白いパンツに浮き上がった赤い斑点は目立った。

 今季初のナイターゲームだった。「影響はなかった。前半戦最後の試合。大事な試合だった。相手はソフトバンク。しっかり調整してきた」。4回まで無安打に抑える完璧な立ち上がりを見せ、6回を無失点で7勝目を挙げた。細長い指先から放たれる低めギリギリの直球と、緩急をつけるチェンジアップで、強力なソフトバンク打線を相手に被安打は「2」だった。