これまでの岸は「昼顔」だった。先発登板した12試合は、全てデーゲームでの登板だったが「疲れは大丈夫です。食べるのも問題ない」と甘いマスクの口元が緩んだ。4回には1死から柳田をチェンジアップで空振り三振、内川には外角直球で2者連続の空振り三振に仕留めた。社会現象ともなった不倫を描いたテレビドラマ「昼顔」。主演の斎藤工に負けず劣らずのセクシーな投球だった。

 そんな男も、かつては「夜王」と呼ばれた。西武に在籍していた10年にはナイター14連勝をマークした。昨季までの3年間もナイターでの防御率は、2点台をキープするほど相性は抜群だった。「あんまり関係ないです」と素っ気ないが、「今年はデーゲームばっかりなので、朝7時30分には目が覚める。6時間くらい寝るんですけど。12時、深夜1時に寝る6時間睡眠と、深夜3、4時に寝る6時間の睡眠は翌日の体が違う」とコンディションに気を使いながら、大一番に合わせてきた。今年の岸は、昼も夜も強い。【栗田尚樹】