巨人が後半戦の大逆襲へ、首脳陣の刷新を断行した。13日、斎藤雅樹2軍監督(52)を1軍投手コーチに、尾花高夫投手コーチ(59)をブルペン担当に配置転換させることを発表した。同担当だった田畑一也投手コーチ(48)は広島専属のスコアラーに任命され、3勝11敗の天敵克服に着手。15日の1軍全体練習から新体制で臨み、4位からの巻き返しを図る。また2軍監督には内田順三巡回打撃コーチ(69)が就く。

 巨人は前半戦終盤を上昇気流に乗って終えたが、フロントは首脳陣の入れ替えに踏み込んだ。前日12日に鹿取GMが斎藤2軍監督に配置転換を通達した。2軍監督がシーズン中に1軍首脳に職務を変えるのは異例。一方で1軍も4位と分岐点にいる。鹿取GMは「これから浮上するために最高の配置転換じゃないかなと思う」と自信を見せた。

 投手陣の防御率はリーグ3位の3・48。完封数は12球団トップだが菅野、田口、マイコラスに続く、先発陣が安定せず、中継ぎ陣も手薄。斎藤2軍監督は1軍のコーチとしても通算10年の経験を誇る。昨年は2軍監督として21年ぶりに日本一に導き、U23(23歳以下)ワールドカップの代表監督として世界一に輝くなど評価も上昇した。

 鹿取GMは「2軍で選手も見ているから、すぐに上げられる」と期待。この日、フレッシュ球宴の全イースタン監督を務めた斎藤2軍監督は「びっくりしたが巨人、高橋監督のために頑張りたい。僕の明るさで何とかチームを明るくしてくれということだとも思う。先発の5、6番目、それから7回。最後の方の投手がしっかりすれば十分勝てる要素はある」と話した。

 もう1つの断固たる狙いもある。尾花コーチを救援強化でブルペンに配し、同職だった田畑コーチを広島専用の007に置く。今季対戦で3勝11敗、防御率5・39。前半戦借金ターンの最たる要因となった。現在は4人の先乗りスコアラーが持ち回りで分析に当たり、近年は1球団に専従する形は取っていなかった。鹿取GMは「交流戦は別として他の(セ・リーグ)チームに5割近くはいっている。広島に勝たないと上に浮上しない」と、もくろむ。

 前半戦は球団史上ワーストの13連敗を喫し、大不振に陥った。底は脱したが、この大型連敗を経験し、優勝はおろか、Aクラス入りしたチームも球史に存在しない。奇跡という言葉も軽いかもしれない。ただ未来へ進むために変革を恐れはしない。【広重竜太郎】