「ストレスはずっとかかりっぱなし。シーズンが終わるまでホッとする瞬間はない。ホッとすると体が動かなくなりそうだから、落ち着きたくない」。打たれた記憶だけが残り、いい経験は「覚えていない」。ひたすら重圧に耐えてきた。ストレス発散法は好きな肉料理を食べるくらい。酒も飲めない。全盛時は部分的に髪の毛が抜け、数カ所に及ぶこともあった。

 突出した筋力はない。豊富な練習量と、綿密なケアで気の遠くなるような数字を積み上げた。「記録は終わってから振り返ればいい。今は記録への思いは特にない」。勝利に飢えた鉄腕はまだまだ腕を振る。【柏原誠】

 ◆岩瀬仁紀(いわせ・ひとき)1974年(昭49)11月10日、愛知県生まれ。西尾東から愛知大、NTT東海(当時)を経て98年ドラフト2位で中日入団。1年目から中継ぎで65試合登板、10勝と優勝に貢献。最優秀中継ぎ投手賞を3度獲得。04年から抑えに転向。最多セーブ5度で、05年の46セーブはプロ野球タイ記録。14年7月に史上初の通算400セーブを達成。99~13年まで15年連続で50試合に登板。181センチ、85キロ。左投げ左打ち。

 ▼中日岩瀬が4日の巨人16回戦(東京ドーム)にリリーフ登板し、米田哲也(近鉄)が持つ949試合の通算最多登板記録に並んだ。初登板は99年4月2日の広島1回戦(ナゴヤドーム)。11月で43歳となる岩瀬は今季45試合に登板。48年に40歳の若林忠志(阪神)がマークした40代シーズン最多登板の48試合へ、あと3試合とした。

 ◆大リーグでは 通算949試合以上は19人で、最多は46歳まで投げた左腕ジェシー・オロスコ(79~03年メッツほか)の1252試合。現役最多は「Kロッド」ことフランシスコ・ロドリゲス(現ナショナルズマイナー)の948試合。