本拠地での大台到達を視界に捉えた。巨人阿部慎之助内野手(38)が3回に13号3ランを放ち、通算2000安打まで残り「6」とした。この1発に長野と陽岱鋼の本塁打3発で快勝したチームは、プロ野球新記録の6試合連続3本塁打以上を達成。先発した菅野智之投手(27)は、8回を今季最多の12奪三振、7安打1失点で両リーグ最多の12勝目(4敗)を挙げた。

 絶好球を見逃すわけがない。3回1死二、三塁。阿部が中日小笠原を一撃で沈めた。内寄りに甘く入った139キロ直球。本能的にバットが反応した。打った瞬間に分かるライナーが右翼席中段に飛び込む。表情を崩すことなく主砲はダイヤモンドを周回し「1打席目に少し力みすぎた。軽打に徹したのが、いい結果につながった」。5試合連続安打で8月2発目のアーチで大台へ着実に駒を進めた。

 プロ17年目、失敗を恐れずにスイングしてきたから1994本の安打を積み上げてくることができた。今季の50三振のうち、見逃し三振はわずか5つ。今も胸に刻む言葉がある。プロ1年目、当時の内田打撃コーチ(現2軍監督)から「見逃し三振だけはするな」とたたき込まれた。守備のウエートが高い捕手ならではの打撃論だった。見逃し三振を喫してベンチに戻ってくると厳しく叱られた。「当時はどうしても守備のことばかり考えてしまっていた。それを内田コーチに見透かされたと思う」。見逃し三振を人一倍嫌う主砲が、甘く入った絶好球を見送るはずがなかった。