「いけます」。ソフトバンク千賀滉大投手(24)は続投志願した。1点リードの7回、2死一、二塁。ベンチからマウンドに来た佐藤投手コーチに、きっぱり言った。直後の西川をフォークで二ゴロに仕留め、7回無失点で10勝目を挙げた。育成出身初の2年連続2桁勝利を達成。チームも完封リレーで首位を守った。

 コンビを組む甲斐から「今日はナックルみたいなフォークでエグかった」と驚かれた。暴れ気味のお化けフォークとスライダー、最速151キロの直球がキレた。今季は日本ハムに6戦6勝。同一シーズンで同じ相手に開幕から6連勝は、球団では05年に杉内が楽天に7連勝して以来12年ぶり。工藤監督からも「千賀は安定していた。走者を出した後の投球が素晴らしかった」と絶賛された。

 前回5日の西武戦では7回1失点の好投も救援陣が6点差を追いつかれ、10勝目を逃した。その夜、東京・立川の宿舎近くに投手陣で食事に繰り出した。「お前が7回で終わったから(勝ち投手になれなかった)と全員に言われましたよ」と笑った。冗談を言い合える投手陣の団結力は強い。

 ソフトバンクが蒲郡の千賀の練習を見に来たのは、10年ドラフト会議の1週間前だった。「大学に行くつもりだったし、こんな時期に来られても…。と、思っていましたね。指名してもらった時はうそやん! 絶対ないやろと、信じられませんでしたね」。それがプロ入り7年目の今季、WBCでも活躍し、今や日本球界を代表する右腕となった。終盤戦も熱い投球で優勝に導く。【石橋隆雄】