トドメの一撃は阪神大山だ。6点リードの7回2死一、二塁。左翼席に4号3ランを放り込んだ。1軍に復帰したばかりの糸井がアーチを描き、球場のボルテージは最高潮に達していた。だがドラフト1位新人が、その熱をさらに熱くし、虎の勝利を決定づけた。

 この日は3安打で10日巨人戦(東京ドーム)以来、プロ入り2度目の猛打賞。5打点はプロ初だった。それでも真っ先に課題を口にした。「ホームランよりもその前の(打席の)セカンドゴロ。真っすぐを狙って詰まるというのは、まだまだ課題が多いかなと」。8月の打率は打率3割4分2厘と、夏場に成長を見せているが、まだまだ貪欲だ。

 大山は律義な男だ。7月下旬の関東遠征でのこと。「(大学の)先輩が出ているので」。社会人野球の都市対抗戦が行われていた東京ドームに、大山の姿があった。その日は阪神のナイトゲームがあったため、試合を観戦することはできなかったが、お世話になった先輩にお礼を伝えるため、わざわざ足を運んでいた。

 金本監督は17日の広島戦も振り返り、「ジャクソンの初球をカーンとレフトに打ったり、楽しみですね。自信をつけていいと思う」と背番号3の成長にうなずいた。本職の三塁に加えて、一塁や外野にも挑戦する22歳。自慢の強打に磨きをかけ、出場機会を求めてトライしていく。【真柴健】