またもヤクルトに屈した。広島先発の薮田和樹投手(25)が3敗目を喫した。7回1死満塁で降板。代わった中田が山田に満塁本塁打を浴び、6回1/3で4失点を喫した。先発転向後は8勝2敗と好調だが、2敗はいずれも最下位のヤクルトだ。優勝マジックは25で足踏み。打線の援護にも恵まれなかったが、11勝の勝ち頭右腕は、自身の投球内容に悔しさいっぱいだった。

 試合中盤、踏ん張りきれなかった。本調子でない中、薮田は5回までは4安打無失点に踏ん張っていた。だが、6回は3連打で走者をため、2死満塁から押し出し四球で先制点を献上。7回も3本の安打を集められ、1死満塁のピンチを招いた。「途中で代えられてしまった。そういう投球だったので…」。直後に代わった中田が満塁本塁打を被弾。敗れたことだけでなく、走者をためた状況で中継ぎに負担をかけた結果を悔やんだ。

 前回12日の巨人戦は完封したが、またもツバメ軍団にやられた。先発2敗はいずれもヤクルト。特に中軸のバレンティンと山田には前回対戦で2人に被弾し、この日も計5安打を許した。「1発のある打者なので。意識しすぎたかもしれない」。先発転向後10試合目の登板でクオリティースタート(6回以上、自責3以下)を達成できなかったのも、29日ヤクルト戦に続き、2度目だ。

 敗戦の責任を強く感じた。「自分がやらないといけないと思っている」。プロ3年目の右腕に自覚が芽生える。アマチュア時代から「エース」という称号とは無縁。岡山理大付では右肘の疲労骨折に苦しみ、亜大で公式戦わずか3試合の登板に終わった。「そういう立場になる前にいつもケガをしてしまっていた」。それがプロ3年目の今季、負傷や不調が目立つ先発の中で、安定感は際立つ。

 打線もヤクルト小川に封じられ、今季7度目の0封負け。マジックは25のまま足踏みとなった。緒方監督は「今日(薮田)はここらへんがいっぱいかなというところで判断させてもらった。こっちがそういうタイミングで継投して、最悪の結果になったので、自分の継投ミスというか自分の責任です。また切り替えて明日から頑張ります」とコメント。敗戦の責任を背負い、前を向いた。【前原淳】