後輩の活躍を刺激に、虎の広陵(広島)出身1、2番コンビが速攻を決めた。1番俊介外野手(30)が三塁打で出塁すると、2番上本博紀内野手(31)が先制の適時二塁打。夏の甲子園では広陵が進撃を続けて4強入り。2人も負けじと虎に勝利をもたらした。

 電光石火の先制劇だった。初回。先頭俊介が中日小笠原の4球目、内角直球を思い切ったスイングでつかまえた。打球は高々と舞い上がり左翼フェンスの白線付近にドスン。ボールが転々とする間に三塁まで到達した。続く2番上本も直球を振り抜き左翼線へ適時二塁打。あっという間に1点を刻んだのは虎の「広陵コンビ」だ。

 上本 俊介がゲームの先頭からチャンスを作ってくれたので、どんなかたちでもいいので俊介をかえすことだけを考えていました。

 31歳上本と30歳俊介。プロ野球選手になった今でも、同窓の絆が消えることはない。8月3日広島戦以来、32打席ぶりのタイムリーを放った上本だが、1学年下のかわいい後輩の名前をわざわざ出して感謝。優しい先輩だ。

 後輩たちの快進撃がパワーになっていることは確かだ。この日、母校広陵は準々決勝で仙台育英を撃破。4強入りを決めた。上本は大会前にプロ入りした他球団の選手とも話し合い、野球部の後輩たちにTシャツとハーフパンツをプレゼント。後輩たちはトレーニングなどの時間に着用するなど期間中も愛用しているという。

 俊介 もっと打てるように頑張ります。(後輩の活躍に)力が出ますし、僕のプレーで力を与えられたら…。勇気もらっているんで僕も負けないように頑張りたい。

 中堅組の星だ。この試合もマルチ安打をマークし、8月の月間打率が3割6分4厘まで上昇した俊介。西岡の復帰などの影響からスタメンを外れることもあった上本もさすがの勝負強さを発揮した。後輩たちに負けていられない-。名門広陵のスターが輝きを放った。【桝井聡】