プロ3年目のDeNA飯塚悟史投手(20)が、6度目の先発マウンドでプロ初勝利を手にした。5回2/3を3安打1失点。決め球のフォークを武器に、中日打線を封じた。マウンドが高く、フィールドも広いナゴヤドームでプロ初白星を手にしたのは、DeNAでは浜口と平良に続いて今季3人目。敵地をまたしても味方につけ、6-3で逃げ切った。

 手応えと悔しさが入り交じった。飯塚は6回2死、大島を四球で歩かせたところで交代を告げられた。「6回の任されたイニングを投げられなかったことが、一番悔しい」。それでも1失点で勝利投手の権利を得ての降板。一時2点差まで迫られながら、最後は逃げ切り、プロ初白星を手にした。ヒーローインタビューを終えロッカールームに戻ると、筒香の愛用するスピーカーから、日本文理高の校歌が流れていた。手拍子に合わせて歌いきり、勝利をかみしめた。

 6度目の挑戦で、状態は決して良くなかった。直球は最速140キロにとどまり、デビュー戦に比べ5キロ遅かった。「その中で腕は振れていたから打ち損じにつながった」と、逃げなかった。こだわりの内角をしっかりと突き、要所で決め球のフォークを投げる。6回に京田にソロアーチを浴びても、気落ちすることなく次の亀沢から、そのフォークで空振り三振を奪った。

 原点の場所で何度も歌った校歌は今でも覚えている。フォークを習得したのも、日本文理高2年だった。センバツ直前の2月、OBで元ヤクルト本間忠氏が臨時コーチに就任し「どんな投手になりたいんだ?」と問われ「勝てる投手になりたいです」と答え、二人三脚の日々が始まった。球数を減らすために、投球の幅を広げる策の1つが、フォークの習得だった。