マスターは容易ではなかったが、本間氏は「実は僕もフォークが苦手だった。だから『抜けやすい指の角度で調整しなさい』と言ったんです」。経験を踏まえた指導を、根気よく続けた。愛弟子は、新たな武器を得てプロへの扉を開いた。技術だけでなく「打たれても表情に出すな」と、マウンドでの立ち姿も教わった。だからこの試合、調子は良くなくても、20歳にして動じない。勲章のウイニングボールは右後ろポケットに入れて、飯塚は言った。「自分が後半戦の救世主になれるようにしたい」。2位浮上を狙うチームに、頼もしい若き戦力が加わった。【栗田成芳】
<飯塚悟史(いいづか・さとし)アラカルト>
◆生まれ 1996年(平8)10月11日生まれ。新潟県上越市出身。
◆中学全国準V 直江津中では3年秋にKボール選抜入りし全国準V。
◆甲子園4強 日本文理(新潟)では2年夏、3年春夏と3季連続甲子園出場。2年秋の明治神宮大会準優勝。3年夏の甲子園はベスト4に進出し、全5戦完投。
◆U18代表 3年夏はU18日本代表にも選出され、同アジア選手権に出場。
◆14年ドラフト7位 14年のドラフト7位でDeNAに入団。
◆サイズなど 188センチ、85キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸520万円。