社会人野球の日本選手権東海地区予選が、11日から愛知・岡崎市民球場で開幕する。昨年の本大会王者ヤマハは、12日の初戦で東邦ガスと対する。今秋ドラフト1位候補の最速155キロ右腕・鈴木博志投手(20)は、先発に、抑えにフル回転する覚悟を決めている。

 予選開幕目前。ヤマハ室内練習場で、鈴木博が目を輝かせながら言った。

 「状態も上がってきていますし、成長できていると思います。先発でも抑えでも、フル回転するイメージで準備はできています」

 今春までは主に抑えで起用されていたが、今夏はオープン戦に先発登板。8月18日の中大戦で9回を2失点で完投した。同23日のセガサミー戦は6回4失点、同31日のトヨタ戦で6回2失点と、長いイニングを投げた。

 注目のドラ1候補。高卒3年目ながらアジア選手権(10月開幕、台湾)に出場する侍ジャパン社会人代表に選出された。チームは7月の都市対抗出場を逃したが、鈴木博は強化選手として新日鉄住金東海REXに加わり、2年連続で東京ドームのマウンドに立った。「違うチームに呼ばれて責任感のある中で投げることで、気持ちの面でも成長できたと思います」。

 最速155キロの直球も、今年6月の社会人代表1次選考合宿で「感覚がつかめた」と明かした。踏み出す左足の接地時間を長くし、ボールを体の前でリリースすると意識したことで、「7、8割の力で150キロが出せるようになりました」。体の負担も減り、長い回を無理なく投げられるようになった。

 今秋の目標は、チームの本大会連覇。心身ともに成長した鈴木博が、予選から全身全霊で臨む。【鈴木正章】

 ◆鈴木博志(すずき・ひろし)1997年(平9)3月22日、掛川市生まれ。大坂小3年から大坂少年野球団で競技開始。大浜中ではエースで4番。磐田東では、斎藤誠哉投手(21=ソフトバンク育成)の控え。右投げ右打ち。181センチ、95キロ。家族は両親と妹。