連覇へ導く。広島田中広輔内野手(28)が、3点ビハインドの3回に6号2ランを放ち劣勢の流れを変えた。今季初対戦の阪神秋山攻略の突破口を開く1発に力を得た打線が、最多勝を争う右腕を5回でKOし逆転勝ち。2位阪神に3連勝でクライマックス・シリーズ進出を決めるとともに、マジックも8に減らした。最短の優勝は12日。いよいよゴールが見えてきた。

 静かに、反撃ののろしを上げた。3点を追う3回。1死一塁から田中が阪神秋山の初球、甘く入ったカットボールをたたいた。夜空に打ち上がった白球が右翼席に吸い込まれると、球場の雰囲気が変わった。歓声が注がれる田中は、表情ひとつ変えずダイヤモンドを1周。「まだ負けている。喜んでいる場合じゃない」。まだ1点差。「一塁走者がKJ(ジョンソン)だったので、入れ替わってもいい。思い切り引っ張ろうと思った。最高の結果になって良かった」。クールな切り込み隊長が一振りで重たい空気を振り払った。