先発ジョンソンが1回に3失点。打線も今季初対戦の秋山に2回まで1安打に抑えられていた。田中の1発で前日まで2戦連続サヨナラ勝利の打線が目覚め、5回に3長打を含む4安打4得点で逆転。最多勝争いに加わる若虎をKOした。

 田中は今季も1番として広島打線をけん引する。盗塁ではタイトル争いをリードし、安打や得点でもチームメートの丸とリーグトップを争う。確かな成長を感じさせる働きにも「昨年、1年使ってもらっているから、やらないといけない」と自覚が芽生える。

 これまで「超一流の脇役」を目指してきた。元ヤクルト宮本慎也氏のような攻守に堅実なプレーでチームを支えるスタイルを理想とした。昨季の経験から意識は変わりつつある。「自分より若い選手も多くなっているので、引っ張っていかないといけないなと思っています」。立場が田中を変えようとしている。

 チームは今季37度目の逆転勝利で阪神に引導を渡した。6連勝で2年連続クライマックスシリーズ進出を決めるとともに、優勝マジックも8にまで減らした。緒方監督は「ホームの独特なムードの中で後押しを受けて選手が乗せられるように、チャンスのところで畳み掛ける攻撃ができている」と打線の成長に目を細める。頂点への道のりは頼れる切り込み隊長が旗手となる。【前原淳】