西武が最大7点差を逆転し、延長10回で14-13の大乱戦をサヨナラで制した。1回に浅村の適時打、森の2点三塁打、栗山の左犠飛で4点を先制した。しかし3回に先発ウルフが5安打を浴びて4失点KO。4回には3番手ガルセスが6失点と炎上するなど、4回表終了時で4-11と7点のビハインドとなった。

 だが、ここから巻き返した。「7点差になってからもベンチでシーンとする雰囲気はなくて、隣にいた山川さんと『これ絶対逆転できるな』と言っていた」と森は振り返る。4回裏に秋山の投ゴロで外崎が生還。6回には炭谷の適時二塁打、秋山の24号2ランで3点をかえす。7回には中村の右犠飛と外崎の左前適時打で2得点。8回は森が中堅フェンス直撃の2点三塁打を放ち、ついに逆転に成功した。

 王者ソフトバンクも食らいついてきた。9回、抑えの増田がデスパイネに同点34号ソロを食らった。延長10回表には、先頭川島の左前への飛球に、遊撃源田と左翼金子侑がお見合い。「OKと言いました。普通にミスです」と源田。飛球が二塁打になってしまうと、回またぎとなった増田が今宮に勝ち越し二塁打を浴びた。

 ここまでと思われたが、10回裏、先頭打者の源田が三塁線を破る二塁打で出塁した。責任を感じていたのかと問われると「だいぶ。何とかしないととずっと思っていた」。1死後、代打坂田が四球で一、二塁。打者森の初球、源田が三盗を決めた。「行けたら行け(のサイン)。浅村さんの打席からタイミングを計っていた」。度胸満点のルーキーは、左腕モイネロの癖を完璧に盗んだ。

 1死一、三塁となり、森が同点の右前打を放った。「源田さんが盗塁してくれて内野が前進守備だったので、前に飛ばすことだけを考えていた」。

 続く打者は、途中出場の金子侑だ。左腕モイネロが3球を投げた時点で、右腕の寺原と交代し、右打席から左打席に移ると、左越えのサヨナラ二塁打を放った。「越えるとは思ったけど、ファウルにならないか心配しながら走っていた。最終回、源田が出て(森)友哉が打って回してくれた。忙しかったけど、打ててよかった」。ヒーローは、気持ちよさそうに汗をぬぐった。

 前日に続き、2試合連続でソフトバンクにサヨナラ勝ち。辻監督は「疲れました。たくさんありすぎて。決めたのは見事なヒットでしたけど、そこまでよくチャンスをつくった。安打が出たり、スチールしたりで」。クライマックスシリーズでファイナルステージに進めば当たる相手に対し、苦手意識を吹き飛ばす壮絶な試合を制した。