献身的な姿勢が支えとなった。プロ野球広島をセ・リーグ2連覇に導いた緒方孝市監督(48)にとって、タレントでもある妻かな子さん(44)の存在は大きかった。

 偉業達成に「主人と同じ言葉になるけど、本当に一試合一試合、勝ってくれたらという思いだった」と安堵(あんど)した。

 昨年は日本シリーズでの敗戦後、悔しさをにじませる監督を自宅で出迎えた。「家族も一緒に悔しがって、悔しさが倍増したらいけない」と明るく努め「ここまで来ることができたのがすごいよね」とねぎらった。

 昨年までやっていた、そっと助言をしたためた手紙を送るのはやめた。今年は「安心感、余裕が出てきたので、本当にただ見守っている感じ」と、監督同様、泰然自若として接してきた。

 オフの神社、寺院詣では恒例行事。昨年末は福井県の寺院へ家族で出掛け「選手の皆さま一人一人に力がある。けがだけはしないように」と願いを込めた。

 自宅で一緒に過ごす時間は少ないが、夫の機嫌を見抜くのは朝飯前。「良さそうな時に、今日はおすしが食べたいな」とほほ笑みかける。緒方家の今年のブームは「ごま」。「物忘れしにくくなると聞いたので『何だっけ』ってなった時は『ごま、ごま、ごま』が口癖になっている」そうだ。

 絵を描くのが得意で、今は「主人が活躍した場所だから」と旧広島市民球場の写生に挑戦中。来年1月には個展を開き、絵本を出版する予定もある。

 監督は「プライベートで心配事があったらいい仕事はできん」と断言する。広島の強さの秘訣(ひけつ)は、かな子さんがつくる家庭環境かもしれない。