4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)本拠地開催へ-。楽天が、執念のサヨナラ勝利を飾った。3点を追う9回に連打で同点に追いつき、最後は銀次内野手(29)が、人生初のサヨナラ死球で逆転劇を完結させた。投げては則本昂大投手(26)が、志願の9回完投で13勝目を挙げた。最後まで諦めず、2位西武を3ゲーム差で追う。

 報道陣の前に現れた銀次が、いきなりTシャツをめくった。背中には赤く腫れ上がったボールの痕がついていた。「人生で初めてです。押し出し四球も、押し出し死球もないですよ。痛かったです。打って決めたかったんですけど。でもある意味決められました」と息を吐いた。

 まさにミラクルだった。8回裏終了時で、3安打無得点と沈黙していたが、9回にたたみかけた。オコエの安打と岡島の四球で無死一、二塁とすると、藤田、アマダー、ペゲーロの3連続適時打で一気に同点とした。ファンの声援も一段と高まる。なおも1死満塁で銀次に回ってきた。狙っていたはずの初球144キロ直球は、背中にグサリと刺さった。銀次は「投げた瞬間に、分かりましたから」。痛みの代償は、球場が歓喜に包まれる4点目となった。

 勝負の流れを完全に引き寄せた。2点を追う2回1死一塁ではウィーラーの中飛で、一塁走者・島内が戻りきれずに3者凡退。3点ビハインドの8回も連打で無死一、二塁としたが、銀次の痛烈な当たりは投直。二塁走者・田中が、戻りきれなかった。最後の最後に、待っていた、どんでん返し。梨田監督も「漫画のような、まさかという感じ。今日のサヨナラは、大きい。明日につなげたい」と大きくうなずいた。

 チームは今、13年以来4年ぶりのCS本拠地開催に向けて1つになっている。選手会長でもある銀次は「本当にそこを意識している。仙台で、たくさんのファンのためにもCSをやりたい」と、ナインの気持ちを代弁した。2位西武とは3ゲーム差。最後まで諦めるつもりはない。【栗田尚樹】