函館大が苫小牧駒大を延長11回4-2で下し、11年秋以来12季ぶりに優勝した。90年秋の北海道学生野球連盟発足後7度目、1リーグ制だった北海道地区連盟時代を含め9度目のV。昨年までの絶対的エース吉田雅貴投手(現新日鉄住金鹿島)が抜け、小林俊己主将(3年=能代松陽)のもと、「チーム力」向上を図り結果につなげた。札幌6大学の覇者、星槎道都大と明治神宮大会代表をかけ、北海道地区代表決定戦(10月12日~、札幌円山)に臨む。

 「やっぱり最後は4年生に助けてもらった」。試合後、小林主将の最初の言葉は先輩への感謝だった。1ー2の9回函館大2死三塁、3番竹原滉太左翼手(4年=駒大岩見沢)が同点打。延長11回1死二、三塁、指名打者・三浦悠太郎(4年=北海学園札幌)の中前適時打で3時間10分の激闘を制した。三浦は「後輩が抑えてくれていた。自分が決めようと思っていた」、竹原も「残った4年生として仕事ができて良かった」と責任感をのぞかせた。

 11年秋のリーグ制覇後は、春秋合わせて2位7度、3位4度。上位争いの常連だが、優勝には届かなかった。エース吉田を擁した昨秋も、今春もリーグ3位にとどまった。

 現状打破へ、鍛えたのは「チーム力」だ。選手の誕生日には誕生会を開いて祝い、オフには仲間同士で釣りにも出掛ける。チーム内で継承している行事で結束を高めた。阪内俊喜監督(61)は「今までは吉田(雅貴)や山内(武=新日鉄住金鹿島)といった大黒柱に頼りすぎていた。今季はチームで勝つ意識が出てきた」と話す。

 現チームになって、新しいことにも取り組んだ。昨冬は全体練習後に野手陣で素振り100本を繰り返した。小林主将は「全体でやることに意味があった」と、明確な目標を全員が持った。今春には元阪神の古溝克之コーチ(53)が就任。小林主将は「プロの経験者が厳しくしてくれて、試合に臨む姿勢も変わった」と成果を挙げた。

 代表決定戦で戦う星槎道都大とは、今季3度対戦し3敗と分が悪い。小林主将は「勝たないとこの優勝も意味がない。チャレンジャーとして戦っていきたい」と力を込める。チーム一丸で臨む。【浅水友輝】

 ◆北海道の大学野球リーグ 道内全域の大学で編成されていた北海道地区連盟が90年、札幌以外に所在する加盟校が北海道学生野球連盟に、札幌に所在する加盟校が札幌学生野球連盟として分離。90年秋から北海道6大学、札幌6大学としてそれぞれ春秋リーグ戦が行われている。