DeNAが「4番筒香」で、01年以来16年ぶりのシーズン勝ち越しを決めた。筒香嘉智外野手(25)が、3カ月ぶりに4番に復帰すると、プロ野球通算10万1号を打った。オリックスのクリス・マレーロ外野手(29)が、ロッテ戦で放った今季19号2ランでプロ野球通算10万号に遅れること10分の26号2ランで、阪神を突き放した。チームは6-2で勝利を収め、4位巨人と0・5ゲーム差に離した。早ければ明日10月1日に、2年連続クライマックスシリーズ(CS)出場を決める。なお、マレーロには日本野球機構(NPB)から100万円が贈呈される。

 10万号から遅れること10分、4番筒香が新たな歴史をスタートさせた。6回の第3打席。内角低めのチェンジアップをすくい上げて、右翼ポール際へ放物線を描いた。「いったかな」という感触の1発は5点差に突き放すアーチ。オリックス・マレーロが午後7時43分に記録したプロ野球通算10万号に続いて、同53分に打った10万1号だった。82年分の重みを実感した。

 筒香 僕が生まれる前から偉大な先輩方が積み上げてきた数字なんだなと感じますね。僕だけで積み上げた数字じゃないですし、先輩方の偉大さを、ただただ感じる。

 区切りの1発よりも、再スタートの1発が今の筒香には似合っている。9月に入ってチーム打率は下降し、月別では最低。ラミレス監督は「筒香4番でCS行きを決めたい。そうなればチームにとっても大きい」と、6月28日広島戦以来3カ月ぶりの4番復帰を決断した。前夜、阪神に大敗を喫した後、3カ月間4番に入ったロペスとともに、伝えられ「分かりました。残り試合全力でやります!」と有言実行。「打順が変わったからといって、やることは変わらない」と平常心を強調しながらも、気持ちは自然と高まった。

 4番が打てばチームは勢いづく。それが筒香ならより一層加速する。ホームランの力を誰よりも分かっているから言う。「プロ野球全体で、もっとホームランが増えればファンも喜んでくれる」。4番弾の後から打線はさらに3連打。6点差にして試合を決定づけた。勝利の波を完全に引き寄せ、阪神5連戦を3勝1分け1敗で終えた。10万号の賞金100万円よりも、価値ある1発だった。

 采配ズバリ的中のラミレス監督は「監督として大きな変化をした試合でうまくいくのは何よりもうれしい」と喜んだ。抜群のタイミングでの4番復帰は、青写真以上の効果を生み出すかもしれない。残り4試合すべてホームで、早ければ明日にもCS出場を決められる。筒香は「いい気持ちで球場に入れる。勝っててもおごらない。ベンチの雰囲気もすごくいい」。喜びはCS出場を決めるまで取っておく。【栗田成芳】