ロッテ田中英祐投手(25)が3日、さいたま市内の選手寮で、球団から来季契約を結ばない旨を通告された。14年ドラフト2位で入団。京大初のプロ野球選手として注目された。1年目の15年4月29日西武戦に先発で1軍デビュー。だが、3回6安打5失点と打ち込まれ、2試合で降格。再昇格はかなわないまま、戦力外となった。「やることはやったという気持ちと、ちょっとずつ良くなっていたので、投げられる、投げたいという気持ちと半々です」と心中を打ち明けた。

 入団当初は「京大君」と呼ばれ、一挙手一投足を追われた。「騒がれて入って。1軍でデビューできて。人がいっぱいで、うれしかった」。だが、デビュー戦が唯一の先発となった。「そこからはしんどいことの方が多かった」。投げ方が分からなくなった。ブルペンでは天井にぶつけ、地面にたたきつけた。150キロ近い球速は、120キロまで落ちた。1年目の9月を最後に9カ月以上、実戦を離れた。イップスを疑い、自分で見つけたメンタルトレーナーにも通った。

 昨冬、右肩の機能に問題があることが分かった。キャッチボールから見直し、オーバースローをサイドに変えた。「考えられる一番下まで落ちた。まだ出来ると信じ、周りの支えで踏ん張り続けました」。だが、時間切れだった。2軍の浦和球場で首脳陣にあいさつを済ませ、ファンにも頭を下げた。目元を少し赤くし「まだ、投げたい。投げられる。でも…、未定です」と苦しげに言った。現役続行を目指すか、いったん頭を整理する。【古川真弥】