偉大な先輩の勇姿を再現する。西武とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦に先発予定の楽天則本昂大投手(26)が11日、Koboパーク宮城で練習を行った。CS進出は現ヤンキース田中を擁した13年以来4季ぶりで、当時は田中を中心に球団初の日本一を達成。「エース」の称号を引き継ぎ、3位から下克上を成す大黒柱になる。

 レギュラーシーズン最終戦から一夜明け、則本は時折笑顔を見せながら投手練習に参加した。「明日は移動日なんで」と通常登板2日前に行う投球練習を1日早め、入念に調整。先発する14日のCS初戦に向けて、感覚を確かめた。

 楽天のCS進出は、リーグ優勝を果たした13年以来となる。則本はルーキーだった。緊張感で「ほとんど覚えてない」という同シリーズで、脳裏に焼き付いた後ろ姿があった。「あの年は、田中さんが投げれば大丈夫という雰囲気があった。特別な存在でしたね」。球団創設初の日本一は、現ヤンキースのエース田中をして成し遂げられた。

 田中は同年、開幕24勝無敗。ポストシーズンまで含め、前年から30連勝と驚異的な成績でチームの躍進を支えた。ヤ軍でも8日(日本時間9日)に、負ければ敗退の地区シリーズで初勝利を挙げたばかり。今も合同自主トレを行う憧れの先輩の投球を、初回からテレビで見届けた。「やっぱり負けられないところで力を出せるのが、あの人らしい」。受けた刺激を「おめでとうございます」のメッセージに込めた。

 栄光の秋から4年がたち、自らが「エース」と呼ばれる立場になった。3位の今季は、2勝先取のファーストステージを初めて戦う。「3試合しかない。その3試合がどれだけ大事かは分かっています。今年は僕だけじゃなく、全員で頑張ってきた。それをもう少し長い時間、やるだけです」。短期決戦の下克上で、肝心なのは初戦を取ること。まずは則本が西武打線をねじ伏せる。4年前、田中がしてくれたように。【鎌田良美】