5年越しの夢へ-。「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が今日26日、東京都内で行われる。社会人野球・三菱自動車岡崎の山本大貴投手(22=北星学園大付)の評価が急速に高まってきた。最速148キロ左腕は、全12球団に調査書を提出。上位指名の可能性もある。指名漏れした高3のドラフトから4年。実力をつけ、プロの扉を開く。

 今夏までに12球団のスタッフが、山本の左腕を見学に訪れた。調査書も12枚届き、返信した。山本は「高校の時に指名漏れを経験したので、今回のドラフトは落ち着いています。普段通り練習を続けながら(指名を)待ちたい」と笑った。

 4年前、無名の高校生ながら一部球団が指名の最終候補に残したとして報道された。当日、名前が呼ばれることはなく、社会人の三菱自動車岡崎に入部した。「ひと回り以上年上の選手も、名門高校、大学を出て、オーラのある選手もいる。押しつぶされそうで、怒られないことだけを考えて行動した」という。

 昨年が転機だった。クラブチーム相手では試合を任されて勝ち星は増えたが、企業チームとの対戦では登板できなかった。都市対抗は本社の不祥事で出場を辞退。秋の日本選手権は東海地区で敗退した。「勝てないチームで、投げさせてももらえないのは、自分がそこまでのレベルに達していないから。今のままじゃダメ」と切り替えた。

 出した結論は肉体改造だった。“投手は胸筋を付けると良くない”といううわさも聞いたが「ダルビッシュ選手も、大谷選手もすごい胸筋。やってダメなら落とせばいい」と決断した。栄養学の本を購入し、疲労のある時は糖分が高めのプロテインを選ぶなど、種類や飲むタイミングなどを把握。連日トレーニング室に入り、上半身と下半身を交互に鍛えた。胸筋は90センチ台から105センチにアップ。体重も5キロ増えた。

 今夏はエースとして自身初の都市対抗を経験、球速も143キロから148キロに上がった。自分が指名漏れしたドラフトで楽天に入団した同じ左腕・松井裕樹投手(21)は日本代表まで駆け上がっている。「今はファンとして見ている感覚ですけど、いずれは追いつき、追い越したい」。自慢となったムキムキの胸を大きく張り、その時を待つ。【中島洋尚】

 ◆山本大貴(やまもと・だいき)1995年(平7)11月10日、札幌市生まれ。札幌信濃小3年時に信濃スターズで野球を始めた。札幌信濃中3年で江別リトルシニアの一員として全国大会出場。北星学園大付高2年夏に南北海道大会札幌地区代表決定戦進出。今年6月の都市対抗野球出場。家族は両親と妹。182センチ、82キロ。左投げ左打ち。