スーパー筒香くんが敵地・福岡に上陸した。DeNA筒香嘉智外野手(25)が3日、今日4日の「SMBC日本シリーズ2017」第6戦に向け、会場のヤフオクドームで調整した。3連敗の後、2連勝で巻き返し、大逆転日本一の可能性が拡大。前夜2日の第5戦では日本シリーズ1号となる逆転2ランと再逆転を演出する適時二塁打の計3打点で勝利に貢献した。あと2試合。奇跡への道を突き進む。

 半袖のアンダーシャツにノースリーブを重ね着した。スーパー筒香くんが、ヤフオクの打撃ケージでツートンカラーのバットで快音を鳴らした。「横浜スタジアムは気温が低かったので体がガチガチでした。こっちはドームだし、暖かいので体がよく動く。勝っても負けても、あと2試合。選手は良い雰囲気でやれているし、前回とは状況が違う」と落ち着いた表情で話した。

 2連敗でスタートした日本シリーズは今となれば過去の話。本拠地・横浜スタジアムで息を吹き返したチームは上げ潮ムードで敵地に乗り込んだ。通算成績2勝3敗で「敗戦=終戦」の構図は変わらないが「負けられないというのは関係ない。それはシーズン中と同じ。何も変えることはない」ときっぱりと言い切った。後がない戦いではない。目の前に日本一をかけた試合がある。その事実だけを見据えた。

 胸元に光る「S」の文字が、この日も揺れた。横浜スタジアム最終戦となった前夜の第5戦はソフトバンク・バンデンハークの153キロ直球を中堅左に放り込んだ。起死回生の逆転2ランに続き、2点を追う6回にはモイネロのチェンジアップを中越え適時二塁打で再逆転につなげた。「自分のスイングでうまく押し込むことができた」と、納得の一打が大一番でよみがえった。

 フルスロットルで残り2戦にかける。10月14日の阪神とのCSファーストステージから13試合を戦ってきた。甲子園で世紀の「泥んこ試合」があれば、マツダスタジアムで無念の「雨天コールド」もあった。幾多の苦難を乗り越えて、この場に立つ。「疲れているか、疲れていないかは問題じゃない。勝つか、負けるか。自分たちは挑戦者としていい勝負をしたい」と締めた。スーパー筒香くんの逆襲物語は、あと2試合、残っている。【為田聡史】

 ◆スーパー筒香くん ネックレスのペンダントトップはアルファベットの「S」がモチーフのシンプルなデザインを着用している。今季序盤は不振で苦しみ、夏場に差し掛かるころ、気分転換を図ろうと新調した。売り場でイニシャルの「T」か「Y」を探したが、不運にも品切れ。その時に直感的に目に飛び込んできたのは「S」の文字だった。「自分を鼓舞する意味で『スーパー筒香くん』になりたいと思って…」。自らを奮い立たせる最強アイテムとして身に着けている。