阪神の球団納会が22日、大阪市内のホテルで行われ、金本知憲監督(49)が打倒広島に向け、若虎にゲキを飛ばした。今季は首位カープに10ゲーム差をつけられたが、チーム力の接近に手応えをつかんだ。来季のレギュラーに福留、鳥谷、糸井の名前を挙げ、残りのポジションは白紙を強調。競争原理による若手の底上げで、来季のV奪還を実現させる。

 2年連続で広島にリーグ制覇を許したが、指揮官はあえて前向きに振る舞った。球団納会の壇上であいさつ。来季こそ、戦力の整った首位広島を打倒することをナインの前で誓った。「10ゲームほどの差は、僕は感じていませんし、このシーズンオフをどう過ごすか。若手、中堅が力をつけてくれるか。十分に広島を、それから巨人を倒せる。リーグ優勝できると僕は思っています」。05年以来遠ざかる優勝への思いをたぎらせた。

 もちろん、V逸の事実は受け止めている。「2位は敗者ですよ。優勝ありきで向かってやっているわけですから。そこにたどりつけなかったのは、チームとして敗者ですから。勝てなかったチームという自覚を持たないと」。ただ悲観する必要はない。リリーフを中心とした投手力はリーグでも屈指。打線も糸井の加入で反発力が生まれた。中堅、ベテランが結果を残し、後は若手が成長すれば、互角に渡り合える。そう確信している。

 来季の構想では、福留、鳥谷、糸井の3人はレギュラーを確約した。「順調に行けば、彼らは開幕スタメンであると思う」。裏返せば、野手は残り5つのポジションが白紙だ。指揮官は語気を強めた。「競争ですよ。他に誰がいるの? 誰が? 教えて。お前だけは絶対に開幕スタメンでいくという選手はいないでしょ。それだけ実力の差があるわけだから。そこは競争。だからシーズンオフに、競争対象の選手がどれだけやってくるか」。秋季キャンプでは昨年に引き続き、猛練習を若虎に課した。オフをへて、春季キャンプでいかなる成長を見せてくれるか。ここに猛虎の未来がかかっている。

 昨年もポジションは空いていたが、高山や北條ら若手はチャンスを逸した。停滞した選手は淘汰(とうた)されていく。指揮官のゲキに応えられるか。勝負のオフはすでに始まっている。【田口真一郎】