侍ジャパンU15(15歳以下)代表の宮本拓実投手(秀光中3年)が、今月静岡で開催された「BFA U-15アジア選手権」で優勝に貢献した。満塁本塁打を含む7打数3安打7打点の活躍で勝負強さを見せつけた。高校は系列の仙台育英に進学予定。10月に楽天にドラフト6位指名された西巻賢二内野手(18=仙台育英)は直系の先輩で、楽天ジュニア、秀光中、仙台育英と3世代で同じユニホームに袖を通し、さらなる飛躍を遂げる。

 侍ジャパンの縦じまのユニホームが、似合うようになった。アジア選手権優勝に貢献した宮本は、一回りも二回りも大きくなって帰ってきた。

 宮本 前回大会(15年開催)は台湾に負けて準優勝に終わっていたので、優勝は率直にうれしい。回転が不規則な球は、日本で体験できない。勉強になった。

 本職は投手ながら、長打力が自慢の打撃で堅実な仕事をこなした。香港との初戦。2回の代打の初球だった。内角高めのスローボールを強振すると、右翼席に満塁弾を突き刺した。大会中にすり足打法から、足を上げる形に修正していた。「タイミングが取りやすくなった。収穫があった」。勝負どころで好打を放ち、存在感を発揮した。

 投手としては大会で1試合のみの登板に終わったが、中3時点で驚異的なポテンシャルを秘めている。軟式球で最速139キロをたたき出し、変化球も器用に操る。「どの球でもカウントと空振りが取れます」と豪語し、縦横のスライダーを始め、カーブ、ツーシーム、チェンジアップ、スプリットの6種類を自在に制球する。秀光中の恩師、須江航監督(34)は「高校に入ってもすぐ通用するレベル」と高い素質を評価する。

 偉大な先輩の系譜を継ぐ男だ。高校は系列の仙台育英に進学予定で、楽天に6位で指名された西巻と経歴が重なる。西巻とは3学年差で入れ違いとなるが「オーラがすごい」と尊敬のまなざしを送る。あと4カ月後に始まる高校生活では、輝かしい未来が待っている。「厳しい野球に耐えて、まずは甲子園に出ないと。東北初の優勝旗を持って帰って、自分も将来はプロに入りたい」。投打に可能性を秘める宮本が、新たな1歩を踏み出す。【高橋洋平】

 ◆宮本拓実(みやもと・たくみ)2002年(平14)8月3日、宮城・仙台市生まれ。袋原小1年から野球を始め、同6年で楽天ジュニアに選出。秀光中では1年春からベンチ入り、中2から2年連続で全国中学軟式野球大会で4強進出。180センチ、76キロ。右投げ左打ち。家族は両親、兄、祖父母。